【スバルレガシィはどこへゆく?】新型投入で旗艦車は復活するのか!?

【スバルレガシィはどこへゆく?】新型投入で旗艦車は復活するのか!?

 1989年の登場以来、スバルを代表する基幹車種に成長した「レガシィ」。これまで通算6代にわたって生産・販売を続けており、正式アナウンスはないが、2020年に新型(7代目)が発売されるとみられる。

 しかし、スバルの旗艦車と言われ、過去には高い人気を誇ったレガシィだが、アメリカ市場に軸足を移した10年前からその人気は陰りを見せている。ライバルメーカーのマツダ「マツダ6(アテンザ)」には勝っているものの、厳しいと言わざるを得ない状況だ。

 なぜこのような状況に陥ってしまったのだろうか!? 今回は、これまでのレガシィの歩みと、その復活への課題に迫る。

文/渡辺陽一郎
写真/SUBARU

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■基幹車種として地位を確立したはずが、崩れた国内販売

「スバルの主力車種は何か?」と問われた時、レガシィの車名を挙げる人は多い。ところが、今は売れ行きが低迷している。1カ月の登録台数は、レガシィのアウトバックとセダンのB4を合計して350~400台程度だ。インプレッサ&XVは1カ月に3800台、フォレスターも2800台前後を登録しているから、レガシィはかなり少ない。

 過去を振り返ると、1990年代には、5ナンバーサイズだった初代/2代目/3代目レガシィが1カ月平均で6000~7000台は登録されていた。当時は今に比べるとクルマの売れ行きが全般的に好調だったが、このなかでもレガシィは、販売ランキングの中堅から上位に位置した。

 4代目レガシィは2003年に発売され、すべてのボディが3ナンバーサイズに拡大されたが、堅調な売れ行きを保って、2004~2005年の1カ月の登録台数は5000~6000台であった。

10万km耐久走行やWRC参戦でファンの心をつかんだ初代レガシィ。セダンとツーリングワゴンを設定。特にツーリングワゴンは、パワフルかつユーティリティ性能も高いということで、一躍人気モデルとなった

 この勢いが衰えたのは、2009年に発売された5代目だ。発売の翌年に当たる2010年の登録台数は2300台にとどまる。販売ランキングの順位も後退した。5代目の特徴は、4代目に比べてボディを大型化したことだ。ツーリングワゴンの場合、全長は約60mm、全幅は50mm、ホイールベース(前輪と後輪の間隔)は80mm拡大された。全長は4775mm、全幅は1780mmとなる。

 全高は1535mmで、セダンのB4も1505mmと高い。ボディの大きさはミドルサイズでも、天井が高く(セダンで全高が1500mmに達するのはレガシィB4とフーガくらいだ)、後席の足元空間も広いから4名乗車時の居住性は抜群に優れていた。柔軟に伸縮するサスペンションによって乗り心地も快適で、後席はシートの造りも上質になったから、4名乗車時の機能は大幅に向上した。

アメリカ市場を重視し、ボディサイズの大型化を図った5代目。国内市場ではミニバン人気に押され売れ行きが低下。大型化を受け、一部ファンからは「レガシィが日本市場を捨てた」という声も上がった

 しかしボディが大柄になったことで、レガシィが本来備えていたスポーティな性格は薄れ、落ち着いた印象になった。ちなみに2008年には、Lサイズミニバンのアルファードがフルモデルチェンジを行って2代目になり、姉妹車のヴェルファイアも加わって売れ行きを伸ばしている。

 エスティマも最終型の3代目が好調に売れていたから、広くて快適なクルマを求めるユーザーはすでにミニバンを買っていた。そうなると大柄になったレガシィは、セダンやワゴンを求めるユーザーのニーズに合わず売れ行きを下げた。

 そして2014年に発売された6代目の現行型は、ボディをさらに大型化した。全長はアウトバックが4820mm、B4も4800mmと長く、全幅は両車とも1840mmに達する。

 初代から5代目まで主力とされたツーリングワゴンは廃止され、その代わりミドルサイズワゴンのレヴォーグを加えた。レヴォーグは、今では海外でも売られるが、発売時点では国内専用とされて全幅も1800mmを下まわっている。

ツーリングワゴンが廃止され、B4とアウトバックだけとなった現行型(6代目)。アウトバックは「Xモード」を搭載するなど 、よりSUVらしく進化を遂げた

 つまり、かつてのレガシィツーリングワゴンはレヴォーグに切り替わり、B4のニーズもインプレッサG4が引き継いでいる。アウトバックの需要もXVとフォレスターである程度は応えられるから、レガシィは海外向けの車種になり、日本国内の役割を終えたと見ることもできるだろう。その結果、1カ月の登録台数も前述の350~400台まで下がり、最盛期の5%にとどまるわけだ。

 ただし冒頭で述べたように「スバルの主力車種は何か?」と問われた時、レガシィの車名を挙げる人は今でも多い。レヴォーグ、インプレッサG4、XVが立派なクルマに成長しても、レガシィはスバルの基幹車種であり続ける。

 特にアウトバックは、最低地上高(路面とボディの最も低い部分との間隔)が200mmに達するから、悪路のデコボコを乗り越えやすい。ワゴンスタイルによって全高は1605mmに収まるため、重心高が適度で走行安定性も良好だ。舗装路と悪路の両方で、優れた性能を発揮する。

 B4も全高が1500mmのボディによって前後席ともに居住性が快適で、4WDの採用により、雪道まで含めて走行安定性は抜群に高い。海外向けになったとはいえ、レガシィでなければ手に入らない独特の機能がある。スバルが販売に積極的になれば、レガシィが1カ月に1000台前後を登録することは十分に可能だろう。

次ページは : ■海外では新型投入も冷遇の日本市場。このままではファン離れは止まらない

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