経験を積んだドライバーになると、「ここはいつも人が通らない」「停止線があるからいつも相手が止まる」など、ある意味都合のいい思い込み運転をしがち。そこで今回は思い込みがちなシーンや対策を考えてみる。
文/山口卓也、写真/写真AC
【画像ギャラリー】思い込み運転をしていませんか?(8枚)画像ギャラリー“思い込み運転”=“だろう運転”
「だろう運転」はよく聞くフレーズだが、要は自分に都合のいい“楽観的な予測”による運転のことで、思い込み運転と同意である。
運転に慣れたベテランドライバーほど「相手側に一時停止線があるから停まるだろう」「流れのいい道でまさか急ブレーキは踏まないだろう」など、少し考えれば危険がそこにある可能性があるのに都合よく考えてしまいがち。
また、同じ意味で使われるがあまり聞き慣れない単語に、運転中に相手のクルマや歩行者の動きに気づいていながら、危険が“ない”と判断して注視を怠る “動静不注視”がある。
⚫︎動静不注視は安全運転義務違反行為のなかで2番目に多い
安全運転義務違反の内訳で最も多いのは、“安全不確認”といわれ、約半数を占める。しかし、動静不注視と安全不確認はなんとなく似ているがまったく異なる。
安全不確認が「一時停止や徐行をしてはいるが、十分な安全確認ができていないこと」を指すのに対し、動静不注視は「他車や歩行者などの動きに気づいていながら、危険がないと判断して注視を行うこと」を指す。
少し考えればどこが危険かはわかるはずなのに、都合よく判断してしまうドライバーがいかに多いか……。
動静不注視は“だろう運転”に代表される適切な注視の不徹底によるものである。
【画像ギャラリー】思い込み運転をしていませんか?(8枚)画像ギャラリー“だろう運転”から“かもしれない運転”へ
「対向車は急に曲がってくるかもしれない」「歩行者や自転車がそこにいるかもしれない」など、危険な状況を予測して運転することは非常に重要。
筆者も最近、事故につながりかねない危険なシーンに遭遇した。
幹線道路走行中、前走のトラックがハザードを出したので、「左脇に停車するんだろう……」と思い右側から抜きにかかった。そのとき急にトラックが右にハンドルを切り、あわや追突! 急ブレーキを踏んで停止すると、トラックは左側にあった似たようなトラックが多数停めてある広い駐車場にバックで入っていったのだった。
これも私自身そして相手方の“だろう運転”である。
左側にトラックの駐車場はあらかじめ見えていた(動静不注視)ので、私自身よく考えればどこが危険かはわかっていたはずだ。また住宅街で、自家用車を駐車スペースに駐車するためにこのような動きを何度か見かけたこともある。
似たようなシーンでは、コンビニに入るためにウインカーを出したクルマが歩行者を発見して歩道手前で急停止! なども見かけたことがあるが、そもそも道路交通法では歩道を横切る直前では一時停止すべき場所である。
よって、最近では前車がブレーキランプやウインカー、ハザードを急に点灯させたときはその後の動きを都合よく決めず、「停まる? 曲がる?」など声を出すようにし、“かもしれない”を意識して車間を空け、減速するようにしている。
【画像ギャラリー】思い込み運転をしていませんか?(8枚)画像ギャラリー“かもしれない運転”を行うために効果的なこと
“かもしれない運転”は“だろう運転”と対照的な意味を持ち、常に危険を予知してそれに対応できる余裕を持って運転すること。
かもしれない運転を身につけるためには、危険予知トレーニングを行うことやあらかじめ危険の種類を知っておくことが非常に効果的。危険の種類を知って心の準備をしておくと、万が一の場合の体の反応速度も大幅に短縮できるからだ。
コメント
コメントの使い方前方の信号が替わらないうちに走り抜けることばかりに夢中に。だから事故なんて頭の隅にもない。