カローラIIなどの大衆車も採用するほどの市民権を得ていたリトラ
リトラクタブルヘッドライトが採用されるのはスポーツカー……というイメージをもっている人も多いかもしれないが、個性的なクルマが数多く登場して多様性にあふれていた1980年代後半は大衆車にも採用されるほどの市民権を得ていた。
その代表的なモデルといえるのが、1986年5月に発売された2代目のカローラIIだ。
1982年5月に登場したターセルとコルサの2代目にあたるモデルとして発売されたカローラIIの初代モデル。
当時、若年層や女性層の支持を得て伸びの著しかった3ドアハッチバックと5ドアハッチバック、3ボックス4ドアセダンの3つのボディスタイルが採用された。
その後登場した2代目は1984年10月にFF化したスターレットのプラットフォームを使用することでショートホイールベース化を図り、エンジンも従来の縦置きレイアウトから横置きに変更された。
そんな2代目の3ドアスポーティグレード(SR系)に採用されたのが、リトラクタブルヘッドライトだった。
当時のカタログには“進んだヤングのために、「3ドア・リトラ」。”と記されており、リトラクタブルヘッドライトの採用が2代目の大きなセールスポイントのひとつになっていたことがうかがえる。
また、リトラクタブルヘッドライトを採用したモデルはボディ一体のカラード大型バンパーを装備して、精悍なフロントビューとスポーティなスタイリングを実現。まさに“エアロスタイリッシュ”といった佇まいを漂わせていた。
ちなみに、カローラIIと同時期に発売された姉妹車のコルサとターセルにもリトラクタブルヘッドライトが採用されており、街中でもこれらのモデルを頻繁に見かけることが多かった。
流し目風の半目開きがアイコニックだった3代目フェアレディZのセミリトラ
最後に紹介するのはちょっと変わり種のリトラクタブルヘッドライト搭載車両。それは、1983年9月にデビューした3代目のフェアレディZだ。
2代目の登場から5年1カ月ぶりとなったフルモデルチェンジで国産モデルとしては最高となる230psの出力を誇る、国産車初の3.0リッター V6ターボエンジンを搭載して大きな話題となった3代目。
また、フェアレディZの伝統的なスポーツカーイメージを踏襲しながらも、高次元の走行性能を実現するべくエアロダイナミクスを徹底的に追求。
空気の流れとの融和を実現した流麗かつ精悍なスポーツカースタイルも大きな特徴だったが、その結果、空気抵抗係数は0.31と当時の国産車としては最高レベルを実現している。
そんな3代目のヘッドライトもまた空気抵抗を低減するために採用されたものだったが、ここまでに紹介してきた3モデルとは異なり、あえてライトのすべてを隠さない半目が開いたようなセミリトラクタブルヘッドライト(正式名称:パラレルライジングヘッドランプ)を世界で初めて採用。
その動きはもちろん、ビジュアル的にも3代目を象徴する“個性”になったことは言うまでもないだろう。
ちなみに、3代目フェアレディZと似たようなセミリトラクタブルヘッドライトは、1983年6月に発売された初代CR-Xや1981年5月に発売された初代ピアッツァも採用。
フェアレディZとCR-Xは1代限りの採用にとどまったのに対して、ピアッツアは2代目でも採用されたが、1995年に生産が終了。その後、セミリトラクタブルヘッドライトを採用したモデルは存在しない。
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