最近、夜間の対向車からのハイビームがやたら眩しく感じることが多くなったが、日中でもデイタイムランニングライト(略してデイライト)を点灯しているクルマが多くなってきた。
そこで、なぜデイライトを点けるクルマが多くなってきたのか? モータージャーナリストの高根英幸氏が解説する。
文/高根英幸
写真/ベストカーWEB編集部
■昼間なのにデイライトを点ける理由
親しいドライバーの間から最近、夜間の運転が苦痛だという声をよく聞く。とにかく対向車や後続車のライトが眩しいのだと言う。アラフィフの筆者もまったく同感で、自分の目が何かの病気になってしまったかと思ってしまうほどだ。
夜間だけではない、昼間もデイライトを点灯させているクルマが増えてきた。その理由はほかの交通からの被視認性を高め、交通事故を減らすためだ。
オートバイは1998年4月からイグニッションをオンにするとヘッドライトが点灯するよう保安基準で定められており、街を走るほとんどのオートバイは、昼間でもヘッドライトを点灯して走っている。
これはデイライトと同じ目的で、死角があるクルマからの被視認性を高めるための措置だ。
その反面、自光式メーターのおかげで夜間も自車の無灯火に気付かずに暗い道路上を走っているドライバーも見かける。
こうした問題を受けて、国土交通省は2020年4月から周囲の明るさに応じてヘッドライト(ロービーム)を自動で点灯させるオートライトを装備することを義務付けている(生産継続車は2021年10月から)。
来年4月以降、新車で販売されるクルマには、オートライトが装着されて、徐々にではあるがこうした無灯火車問題は減少していくことになる。
しかし既存のクルマはまだまだ当分街を走っており、無灯火ドライバーの危険性は完全には解消できない。
自分が無灯火ドライバーとならないだけでなく、無灯火車に遭遇しても慌てずに衝突を回避するよう、余裕をもった運転を心がけていただきたい。
■デイライトが明文化され、明るさなどの基準が変わった
デイライトは、15年ほど前からタクシー業界や宅配業界で普及が進んできたものだ。LEDの高性能化もあって、省電力ながら照度もあって、アピールぶりがかなり高い。
しかしこのところ、このデイライトが眩しく感じるクルマをチラホラ見かけるようになってきた。
これは近年の法改正が影響しているようだ。2016年10月に道路運送車両に関する保安基準が改正され、デイライトの基準が明確化されたのである。
以前はデイライトは独立した基準がなく、「その他灯火類」として300カンデラの照度までしか認められていなかったのだが、一気に1440カンデラまで認められるようになったのだ。
そのため最近は明るいデイライトが登場し、これを装着しているクルマは昼間もかなりの明るさを放っているのである。
しかし、今後これらの明るいデイライト装着車は、取り締まりの対象になる可能性がある。
それには2つの理由がある。1つは、デイライトの基準で定められていることとして「照射光線は他の交通を妨げないものであること」という項目があるからだ。
つまり、照度は基準内でも、ハイビームのように対向車や先行車のドライバーを幻惑するような光軸になっている場合、取り締まりを受ける可能性が出てくる。
デイライトはフォグランプのように周囲に光が散る配光特性のため、通常なら問題ないハズだが明る過ぎる場合は、問題になるのだ。
そしてもう1つは、こうした車両の保安基準や衝突安全性などに関して、EUと日本はWP29(自動車基準調和世界フォーラム)という枠組みで共通化を図っている。
灯火類もそれに含まれているのだが、EUのデイライトの照度基準は現在は1200カンデラなのである。
コメント
コメントの使い方今さらながらではありますが…、
デイタイムランニングライトはそもそも日中点灯用照明という意味なので
「日中でもデイタイムランニングライト(略してデイライト)を点灯している」
という表現はおかしいかと