国内で圧倒的な人気を誇るトヨタ「シエンタ」とホンダ「フリード」。2024年の乗用車販売台数ランキングにおいても、1位のカローラ(16万6956台)と2位にヤリス(16万6162台)に続く3位にシエンタ(11万1090台)、4位のノート(10万1766台)を挟んでフリードも5位(8万5368台)にランクインしている。カローラやヤリス、ノートの販売台数が複数車種の合計であることを考えれば、シエンタとフリードは、日本でもっとも売れている乗用車タイプだといって過言ではないだろう。
そんなシエンタとフリードだが、人気モデルであるだけにどちらも完成度が高く、「どっちを買うべきか」と悩んでいるユーザーは多いはず。サイズも近く、2列ないしは3列シートといった座席構成、ガソリン車とハイブリッド車というパワートレイン構成も同じだ。では結局のところ、フリードとシエンタはどちらがよりいいクルマなのか!?? 徹底比較してみよう。
文:吉川賢一/写真:TOYOTA、HONDA
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シエンタの現行モデルは2022年8月に登場した3代目、フリードは2024年6月に登場したこちらも3代目だ。シエンタは、現行モデルが登場した2022年は68,992台、2023年は132,332台、2024年は111,090台と、連続10万台超えを記録。フリードも、モデル末期でありながら、2022年は79,525台、2023年は77,562台を登録し、フルモデルチェンジとなった2024年は84,082台を登録。2025年の現時点(1~3月)は、シエンタが32,783台でフリードが27,630台となっている。
登録台数においては、シエンタが1歩リードしているようにみえる昨今の状況だが、シエンタとフリードは好敵手として、相手を研究し尽くし、お互いを高め合っていると思う。そのため、購入する際は、どちらがより優れているかという比較をするよりは、双方の最新モデルの特徴を把握したうえで、どちらが向いているのかをしっかりと見極めたいところだ。

2024年5月の商品改良でさらに魅力が増したシエンタ
ここからは両モデルそれぞれの特徴を挙げていこう。シエンタの強みのひとつが「低燃費」だ。ガソリン車では、シエンタが18.3km/L(WLTCモード)に対し、フリードは16.5km/L。ハイブリッド車でも、シエンタが28.8km/Lであるのに対し、フリードは25.6km/Lと、わずかではあるものの、シエンタのほうが燃費性能において優れる。
シエンタはまた、3列目シートが完全にフロア下に格納できる機構があるためか、3列シート車が人気なのも特徴だ。普段は荷物スペースとして活用し、いざというときには3列シートを出すことで7人まで乗ることが可能。フリードの3列シートに関しては後述するが、この点においてはシエンタのほうが使い勝手がよい。
そしてなにより、シエンタは比較的車両価格が安い。ガソリン車(X 2WD 5人乗り)は税込199万円から、ハイブリッド車(X 2WD 5人乗り)も税込239万円から購入することができ、上級グレード「Z」となってもガソリン車(ガソリンZ 2WD 7人乗り)は税込268万円で、ハイブリッド車(ハイブリッドZ 2WD 7人乗り)は税込303万円だ。諸費用込々でも320~340万円程で収まってしまう。
ベーシックグレードであってガソリン車が税込262万円、ハイブリッド車が303万円となるフリードと比べてしまうと、(基本装備の差があるとはいえ)こちらを選びたくなる理由は大いにわかる。シエンタはまた、現行モデルのファニーなデザインも、特に女性から支持を集めているようだ。
なお現行シエンタは、2025年5月に一部改良となっている。専用アプリを介してスマホをキーとして使用できるデジタルキーや、外部給電アタッチメント(窓を閉じた状態でも電源コードを車外に引き出せる)をメーカーオプションで新設定したほか、需要の高い10.5インチディスプレイオーディオPlusを「Z」に標準化、パノラミックビューモニターを「Z」「G」に標準設定するなど、嬉しい商品改良が加えられ、さらに魅力が増した。
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