SUVの技術まで導入された新時代セダン
パワートレインはBEVとHEVを用意。HEVはFF/AWDが2L(中国仕様のみの設定)と出力違いの2.5Lの3タイプ。2.5LはES300h(システム出力:201.2ps)とES350h(システム出力247.4ps)が存在するが、これはハードは同じで排ガス対応の差だそうだ。
BEVはFF(ES350e)がシステム出力224.3ps(航続距離約685㎞)、AWD(ES500e)はシステム出力342.6ps(航続距離610㎞)と、どちらも十分以上のスペックを誇る(ES500eは0-100 km/h加速5.9秒と俊足)。
プラットフォームは形式場は「TNGA GA-K」だが、千足氏曰く「ほぼ全面刷新しました」と言う新型ES専用開発品。レクサスがモデル横断で取り組んでいる「味磨き」の知見も盛り込まれ、中でもいい車体の“キモ”と言われているフロント前端/フロア/リア後端の剛性にこだわった構造を採用。
サスペンションはフロント:ストラット、リア:マルチリンク(ES初)で後輪操舵のDRSも備える。更にES500eは前後モーターを綿密にコントロールして4輪のグリップを最大限に活用するDIRECT4を採用。DIRECT4はRZやRXなどすでにSUV系で採用済みのデバイスだが、セダン系は初となる。
実は筆者は先代ESにリアeAxleを搭載したDIRECT4の試験車に乗せてもらった事があるが、駆動方式の概念を覆す驚きの旋回性能に驚き、「これこそが、次世代レクサススポーツが目指す方向性」だと感じましたが、恐らくES550eのそれはより高いレベルにあると考えていいでしょう。
異端児でありながら正当進化?
ただ、千足氏は「運動性能の限界値は常に高める。それがレクサスのどのクルマも同じですが、新型ESは性能の限界を全て使い切るのではなく、我々は『ゆとり』と『余裕』に使おうと。社内でも『もっとスポーティでもいいのでは?』と言う意見も出ましたが、そこはブラさないように徹底しました。もちろんBEVとHEVではパワートレインやバッテリーを含めて様々な諸元が異なりますが、どのモデルに乗っても同じ走り味/乗り味になるようにセットしています」と教えてくれた。
このように全方位で進化、いや刷新された新型ES。現在SUV人気に押されて元気のないセダン市場だが、逆を言えば魅力的なセダンを出せていなかった証拠でもある。そういう意味でも、新型ESはセダンの“型”を受け継ぎながらも、色々な意味で“型破り”を行なったモデルと言っていい。
これまでフラッグシップLSの陰に隠れていた感が強かったESだが、新型は静かながらも強い主張が色濃く込められている事が解った。そんなレクサス新たな挑戦、背の低いクルマ好きの筆者はしっかりと応援したい。


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