上海モーターショーで世界初公開された8世代目となる「ES」。すでに第一報が様々なメディアから発信されているが、今回現地に行って見て・触って・聞いた筆者(山本シンヤ)が詳報をお届けしたい。
文/写真:山本 シンヤ
【画像ギャラリー】噂の物理スイッチ少なめを一目見よ! 外装も内装も極上の計算美スタイル まさにマッシブエレガント!!(14枚)画像ギャラリー洗練されたオトナセダンで狙うは復権
ESは1989年のレクサス創業時からラインアップされる“生き字引”であると共に、レクサスのビジネスを支える“エース”だったが、近年はSUV人気に押されていたのも事実である。チーフエンジニアの千足浩平氏は「開発コンセプトはセダンの復権」と語る。
セダンはボディ構造や慣性諸元など工学的な合理性が魅力だが、その一方で居住性や利便性はSUVに劣る。そこで新型ESは今までのセダンの魅力はそのままに、今までのセダンには無い魅力を付加させたと言うわけだ。
エクステリアは「ザ・セダン」と言ったイメージの先代(7代目)のイメージを踏襲しながらも、2023年ジャパンモビリティショーで発表されたコンセプトカー「LF-ZC」のエッセンスをプラスさせた4ドアクーペスタイルだ。
広報写真だとややスングリした印象に見えるが、実車はより伸びやか、よりマッチョな印象だ。グリルレスのスピンドルボディもより手慣れてきたように感じる。
歴代ESを振り返ると、どちらかと言うとコンサバで記憶に残らない(失礼)なモデルが多かったが、新型はESの知名度を大きく引き上げた2代目(日本ではウインダムとして発売)のようなフォーマルすぎずカジュアル過ぎない「カッコいい大人のパーソナルセダン」のようなセンスや雰囲気を感じた。
単体で見るとあまり感じないのだが、ボディサイズは全長5140×全幅1920×全高1550~1560㎜とLSに匹敵する。その理由はパッケージの改革で全高を先代に対して+110㎜高めながらも、セダンらしいプロポーションを実現させるためだ。
デザイナーの熊井弥彦氏は「かつて5代目ビスタで同じトライをしましたが、当時は寸法の制約(=5ナンバーサイズ)でデザイン的には今一つでした。厚みがあるクルマをセダンらしく見せるために、寸法をいただきました」と語る。
物理スイッチの少なさがやはり注目!
インテリアはセダンとは思えない開放感ある空間が印象的だ。インパネ周りは奇を衒わない水平基調のシンプルなデザインで、センターのモニターもNX/RXと違って主張は控えめ(中国向けは現地の意向からツインモニター仕様)。メーター周りやステアリングなども刷新されている。
個人的には決して派手さやインパクトはないが、レクサスの本質である「精緻」、「仕立ての良さ」がより表現されているように感じた。
物理スイッチは少なめだが、実はステアリングとインパネ部は見た目こそ静電タッチパネルだが押すと物理スイッチの“クリック感”を備える「レスポンシブヒドゥンスイッチ」を世界初採用。多くの自動車メーカーで物理スイッチの重要性が再考されるが、レクサスは機能とデザインを技術で克服した……と言うわけだ。
更に音楽とイルミネーションの連携やフレグランスの採用など、視覚・聴覚・嗅覚なども含めた空間価値の提供もポイントの1つだ。
居住性は2950㎜のロングホイールベースに加えて、スッキリしたデザインやガラス面積を拡大したことによる視界の広さ、更にパノラマルーフ(調光機能付)も相まって、「君はSUV?」と思うくらいの開放感と、LS以上の広々空間を実現。
ちなみにインテリアカラーは複数用意されるが、個人的には「アオタケ」と呼ばれるグリーンは定番のホワイト/ブラックとは異なる雰囲気で、個人的には80~90年代のトヨタ車を思い出した。
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