【2年でマイチェン4年で新型は過去の話…】新型車の開発が長期化している切ない事情

SUVのフルモデルチェンジサイクルも長い

2013年12月の登場からすでに6年1ヵ月経つにもかかわらず2019年のSUV販売台数NO.1を達成したヴェゼル
2013年12月の登場からすでに6年1ヵ月経つにもかかわらず2019年のSUV販売台数NO.1を達成したヴェゼル

 一方、トヨタのランドクルーザーは、2007年9月から12年を超えてもモデルチェンジを実施しないことが許されるように思える。

 なにより170ヵ国に及ぶ世界的に広がるマーケットを抱えているという事情が大きい。カローラにも言えることだが、長期にわたって使用される世界各国への部品供給の体制づくりにも手間がかかるゆえに、モデルチェンジの間隔が長くなるのも当然といえる。

 6年以上という期間がフルモデルチェンジで定番になりつつあることがうかがえるのがSUVだ。

 今やマーケットを支える主役として、新たなカテゴリーとして定着したとはいっても、ホンダのヴェゼルでさえ2013年12月の登場からすでに6年1ヵ月。日産のエクストレイルも同じ2013年12月にフルモデルチェンジしているから6年を超えている。

商用車が長く売られる事情

1999年6月17日に発売され、約21年フルモデルチェンジしていない。写真は 2016年2月にマイナーチェンジされた現行モデル。全長4285×全幅1690×全高1865mmという5ナンバーサイズ。まるで化石のようなクルマだが、変わらないよさが感じられる
1999年6月17日に発売され、約21年フルモデルチェンジしていない。写真は 2016年2月にマイナーチェンジされた現行モデル。全長4285×全幅1690×全高1865mmという5ナンバーサイズ。まるで化石のようなクルマだが、変わらないよさが感じられる

 次に商用車を見ると、コストの抑制がカギとなる。前述のように国内の安全・環境対策による変更を除けば、仕様変更の要素が少なく、継続して生産・販売していけば原価率は下がっていく。

 さらなるコストダウンを図っていけば、利益率は当然上がるのだから、自然と寿命は長くなってくる。

 例えば、2017年8月のトヨタとマツダの資本提携発表により、マツダは商用車精生産から撤退する旨を明らかにしたため、マツダの商用車であるボンゴバンは「生産終了は秒読み」と言われていたが、現行モデルは21年目(!)を迎えて(1999年6月登場)、まさしく“長寿命”といえる(2020年までに生産終了といわれているが…)。

 ちなみに、2019年5月に登場したボンゴブローニーバンはトヨタのハイエースのOE供給車。ハイエースにしても15年5ヵ月(2004年8月発売)と“長寿モデル”といえるのだから、いずれも原価償却は相当なレベルになっているはずだ。

 トヨタの商用車ではライトエース/タウンエースも2008年1月に国内で発表発売されて早12年。

 ダイハツのインドネシア工場で生産されていることで、人件費などのコスト抑制を図っていることからも、商用車にとってどこまで生き延びられるかも商品性として重要に違いない。

軽自動車のフルモデルチェンジは短い?

5年9ヵ月で現行N-BOXにフルモデルチェンジ。現行N-BOXは2017年9月の登場だから2年4ヵ月経っている
5年9ヵ月で現行N-BOXにフルモデルチェンジ。現行N-BOXは2017年9月の登場だから2年4ヵ月経っている

 軽自動車は、一部の商用車などを除くと、フルモデルチェンジの周期が全般的に短い。とはいえ、軽販売1位のN-BOXは5年9ヵ月、2位のタントは5年9ヵ月、3位のスペーシアは4年9ヵ月で、現行モデルにフルモデルチェンジしているから、軽自動車は5~6年が標準といえそうだ。

 とはいえ、若干登録車よりフルモデルチェンジサイクルが短いのは、国内市場に本気で取り組み、車種を数多く揃えながら、巧みな商品開発で売れ行きを伸ばしているからだ(今は新車販売されるクルマの40%近くが軽自動車)。

 プラットフォームやエンジンを共通化してコストを抑えていることも、フルモデルチェンジを行いやすくしている。

■2019年軽自動車販売台数と発売時期
1位:N‐BOX 25万3500台 2017年9月1日
2位:タント 17万5292台 2019年7月9日
3位:スペーシア 16万6389台 2017年12月14日
4位:デイズ 15万7439台 2019年3月28日
5位:ムーヴ 12万2835台 2014年12月12日
6位:ミラ 9万4527台 2017年5月9日(ミライース)
7位:ワゴンR 9万46台 2017年2月1日
8位:アルト 7万2033台 2014年12月22日
9位:ハスラー 5万7840台 2014年1月8日(先代)
10位:ekシリーズ 4万4883台 2019年3月28日

次ページは : 今後フルモデルチェンジサイクルは長くなっていくのか?

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