豊田章男会長の想い「ひとりの人間として成長してほしい」
2023年の一節にはこうある。
「皆さんは『クルマ屋』です。そして、皆さんが目指すのは、『町いちばん』のクルマ屋です。自分以外の誰かを想う心。それを、皆さんは、学園生活で学んでくれたのだと思います。
創業者の豊田喜一郎は、「従業員は家族」だと言いました。皆さんの家族は、本当のお父さん、お母さんだけではありません。皆さんがここまで成長できたのは、指導員の方々が、父や母、兄や姉のように接してくださったからです。指導員の皆様、ありがとうございます。
また、トヨタには『おやじ』と呼ばれる大先輩もいます。ここにいる河合おやじは、誰よりも『現場』を知り尽くし、トヨタが大切にする思想、それを実現するための技と所作を、背中で教えてくれます。
『教える』という言葉の語源は、『愛しむ(おしむ)』という意味であり、そこには『愛』があります。間違ったことをすれば、本気で叱り、迷惑をかけた時には、一緒に謝ってくれる。そんな家族のような仲間が、これからも皆さんを支えてくれるのです」
豊田章男会長が訴えていることは、地域に根差し、必要とされる存在になってほしいという願いや家族や先輩を敬い感謝することの大切さであり、先輩、後輩を超えた仲間の存在やそのありがたさについても触れられている。
そこには社会人になり、壁にぶつかった時や間違いを犯した時に親身に相談に乗ってくれ、本気で叱ってくれる仲間の存在が、成長していくためには必要だという豊田章男会長の想いが含まれている。
社会人になると叱られることはそれほどない。だからこそ叱ってくれ、自分の立ち位置を教えてくれる存在がありがたいのだ。
2022年以前も豊田章男会長は祝辞を述べているが、いずれも「トヨタマンとして優秀であれ」ではなく、「優しさ」や「努力」、「ありがとうの言葉」といった人としての「当たり前」を身につけることの大切さが語られている。
いずれも“お父さん”からの温かい眼差しが感じられる。トヨタイムズに掲載されているので、日本全国の校長先生はじめ、教育者の方たちの参考になるはずだ。
トヨタ工業学園とは?
1937年トヨタ自動車が誕生した翌年1938年に開校された豊田工科青年学校が前身。「モノづくりは人づくり」の考えのもと、自動車の製造に携わる技能者の育成という設立の意図は現在も変わっていない。
高等部(3年)と高校卒業者を対象とした専門部(1年)があり、全寮制。指導員(先生)はトヨタの社員が務め、一般的な工業高校に比べて数倍の技能実習時間が当てられ、モノづくりのプロになるための実践的な授業が行われている。また授業料免除と手当の支給が受けられることも特徴だ。
卒業と同時にトヨタ自動車の社員となり、約80%が生産部門、約20%が製造技術部門に配属され、卒業生たちは現場のリーダーとして世界各国の工場で活躍している。
コメント
コメントの使い方いやガチで、章男氏は製造業や整備士やメカニックといった職業に、誇りを与え直してくれた偉人だと思う。
ネットの普及で、全然知りもしない奴や、早々に脱落してもの作りの何たるかを知らない奴らが、ひたすら扱下ろしたのがこれら職業。
自分たちが生きてる日本の豊かさも、周りのあらゆるモノも、これらが支えた部分大きいのに、一部切り取って扱下ろした
その為に蔑まれ続けた彼らの魂を救い、格好良さを再確認させてくれた