ホンダ プレリュードの復活決定で注目が集まる復刻モデルだが、過去の名車を現代風にアレンジして復刻しても、それが必ずしも高評価につながるワケではない。今回は、やや期待外れに終わった復刻車を振り返ってみよう。
文/長谷川 敦、写真/アルファロメオ、ダイハツ、ダッジ、トヨタ、ホンダ、CarWp.com
【画像ギャラリー】帰ってきたけど、違った!? 復刻車をもっと見る(16枚)画像ギャラリー人気スポーツカーが復活! でも何かが違う…
●ホンダ NSX
1990年、当時のF1GPで大活躍していたホンダからミドシップレイアウトのスポーツカーが登場した。
NSXと命名されたその2シータースポーツカーは、独自性の強さと他のスポーツカーよりも優れた使い勝手などで人気を集め、2005年まで生産されるロングセラーになった。
2005年頃になるとスポーツカー人気は下降傾向に陥り、NSXも1代限りのモデルになるかと思われたが、2016年にNSXは最新技術の粋を集めたスーパースポーツカーとして復活した。
新生NSXは時代の要請に応じてパワーユニットがハイブリッドモデルになり、3.5リッターV6ツインターボエンジンに3基の電動モーターが組み合わされてシステム最高出力581psを誇った。
ボディフォルムは先代のイメージを残しつつ、より現代的なデザインになった。
こうして最先端のスーパースポーツカーとして生まれ変わったNSXだったが、日本はともかく海外での販売成績は伸び悩み、2022年での生産終了が決定された。
パワーにこだわらず、価格も含めたトータルバランスを追求した初代に対し、超高性能ではあるものの、高額になってしまったことも新生NSXが短命に終わった理由のひとつだと考えられている。
●トヨタ 86/GR86
「ハチロク」といえば、手頃な価格でなおかつドライブを存分に楽しめたFRスポーツカーのトヨタ AE86型カローラレビン&スプリンタートレノを指していた。
そんなハチロクをオマージュして2012年に誕生したのがトヨタの86だった。
86とAE86に直接のつながりはなく、比較的安価なFRスポーツであることが両者の共通点になるが、86に対しても、トヨタが久々に作ったFRスポーツカーとして正式販売前には大きな注目が集まった。
そして実際に登場した86も内容的には魅力の多いモデルだったが、AE86の再来かといわれると、実は共通する要素は少なかった。
実際、FRではあるが、エンジン形式やボディデザインは異なり、車名以外は基本的に別モノといえた。
スバル BRZと兄弟車の86は2021年のモデルチェンジでGR86になったが、86の正常進化であり、コンセプトやボディデザインが継承されている。
86&GR86は一定以上の評価を得ていて販売実績もあるものの、AE86とは“別枠”にされることが多い。
元祖シティコミューターの復権ならず
●ダイハツ ミゼットII
オート3輪というクルマのカテゴリーをご存じの読者も多いだろう。
その名のとおり、前1輪・後2輪の構成を持った軽自動車がオート3輪であり、特に市街地での機動性の高さから、1950~1960年代の日本で大活躍した。
なかでもダイハツが開発したミゼットは、低価格と信頼性の高さから高い人気を集め、オート3輪に代わって4輪の軽自動車が覇権を得るまでカテゴリーのトップに君臨していた。
そんなミゼットが4輪の軽貨物自動車・ミゼットIIとして復活したのが1996年。
ミゼットIIも初代同様に短距離の小口配送用モデルだったが、転倒のしにくさや衝突安全性などを考慮して前2輪・後2輪の一般的なスタイルになった。
先代をモチーフにした愛嬌のあるルックスや小回りの利くサイズなどが注目されたミゼットIIだが、注目ほどには実売数を伸ばすことができず、販売開始からわずか5年の2001年に生産が終わっている。
他にはない際立った個性もあって、現在でもミゼットIIのファンは存在するものの、先代のような大衆車にはなれなかった。



















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