子供たちも夏休みとなり、高速道路が大渋滞する季節になってきました。特に2025年夏のお盆渋滞は昨年に比べ115%増が予測されています。そこで、高速道路が大渋滞している時に思う疑問の1つ、渋滞するとクルマはなぜ追い越し車線に集中してしまうのでしょうか? また、左に車線の進みが早いと左へ、今度は右の車線が早いと右へと車線変更した場合、車線変更しない場合と比べて、どっちが早いのでしょうか?
文:ベストカーWeb編集部/写真:ベストカーWeb編集部、Adobe Stock(トビラ写真:Adobe Stock@Ichiro)
高速道路の渋滞は追い越し車線から始まる?
渋滞は追い越し車線から始まる、とよく言われています。走行車線が混んでくると、追い越し車線に移動するため、結果的に走行車線よりも追い越し車線のほうがクルマの流れが悪くなることが多いです。できるかぎり早く通行したいという心理が働くからです。
渋滞学を研究する大学教授によると、多くのクルマが追い越し車線に集まることで、左側の走行車線よりも追い越し車線のほうが、渋滞がひどくなる傾向があると述べています。
それはなぜか? 左側車線は車速が低いクルマが多く、加えて合流や出口もあることで流れが悪いイメージがあるからです。交通量が多いときには密度が高まることで流れが悪くなり、むしろ渋滞が発生しやすく、渋滞がひどくなる傾向にあるそうです。
NEXCO東日本の渋滞対策実験でも追い越し車線が必ずしも早いとは言い切れないという結果が出ています。もちろん、ICやSA/PAなどからの合流がある場合は右車線を走ったほうがスムーズに走行できます。
合流地点が予めわかっている場合は右側の車線を走り、合流を過ぎたところで左車線に戻るといいでしょう。工事や事故による渋滞の場合には、規制されていない車線のほうが速く流れやすいのです。
プロのトラックドライバーはどうしている?
現役トラックドライバーや長距離ハイヤー運転手からは、「“じっと我慢”が一番。何度も変えるドライバーは結局後ろにいるよ」という声も聞きます。また、高速道路の構造を知り尽くしたプロの視点では、以下のようなテクニックもあります。
・渋滞の先頭がインター出口の場合→中央 or 右車線
・サグ部(下りから上りに変わる微妙な傾斜)が原因→速度維持に有利な右車線
・急ブレーキが多発する状況→車間距離をとれる左車線で安全優先
結論は? 走行車線を走ったほうが早い?
では結論です。高速道路を渋滞中、どのように走れば、早く、ストレスなく進めるのでしょうか? もちろん、混雑状況によって変わってきますが、基本的には高速道路が渋滞している時ほど、追い越し車線の走行は避け、走行車線を走ったほうがいいでしょう。
なかでも片側3車線以上の高速道路の場合、一番左側の車線を走るのが最も効率的とされています。これは前述したとおり、一番右側にある追い越し車線を目指して車線変更を繰り返すクルマが増えるからです。
また渋滞中、追い越し車線、走行車線すべて渋滞していると、追い越し車線にいたクルマが走行車線、追い越し車線へ、左、右と行ったり来たりする走行はどうなのでしょうか?
速度を一定に、車間距離が安定すれば、渋滞緩和につながります。所要時間は、自然渋滞時に頻繁に車線変更した場合と、車線変更しない場合とで比較した場合、所要時間はほとんど変わりません。
車線変更を繰り返すクルマは渋滞を悪化させる諸悪の根源でもあります。車両の流れが乱れて、走行速度にむらが出てしまい、時には後続車が急ブレーキをかけざるを得ない状況にもつながります。
無理な車線変更はあおり運転の被害者になる原因にもなりかねないので、渋滞時はむやみな車線変更はしないほうがいいでしょう。
料金所を通過する場合、例えば4~5つのゲートがある場合、両サイドのゲートを選んだほうが通過にかかる時間が早くなる傾向にあります。ただし、料金所を通過した後に、合流をし直す必要がある場合もあります。
また渋滞中は適切な車間距離をとることも重要です。渋滞中は、割り込まれないようにと車間距離を詰めがちになるドライバーもいるが前走するクルマとの車間距離が短すぎるのは、トラブルや接触事故の原因となるばかりでなく、渋滞のさらなる悪化につながってしまう可能性があります。
特に低速で動き続けるような渋滞では、クルマ1台分、4~5mの車間距離を保つことで、前走車のちょっとした車速変化を車間距離が吸収してくれるために、後続のクルマに伝わりにくくなります。
ただし、車間距離の空けすぎもよくありません。JAFによると、車間を空けすぎていると、そのクルマの後続が車間を詰める傾向があり、新たな渋滞の原因となるとのこと。全車速域クルーズコントロールが搭載されているクルマの場合、車間を空けすぎないように設定しましょう。。





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