危険な違法電動モペットが野放し! 無責任すぎる利用と販売が招く事故急増と摘発7.3倍の現実

2024年改正道路交通法で逃げ道なし! ペダルのみでも原付扱いに

ペダルだけで走行しても、道交法上は一般原動機付自転車等である。50cc以下の原付バイクと同じ扱いだ。歩道を走ることも、ヘルメットを装着しないことも違法だ(naka@Adobestock)
ペダルだけで走行しても、道交法上は一般原動機付自転車等である。50cc以下の原付バイクと同じ扱いだ。歩道を走ることも、ヘルメットを装着しないことも違法だ(naka@Adobestock)

 かつては、現場の警察官も判断に困る時期があり、それに付け込んで「ペダルをこいでいるんだから、これは自転車だ」という言い逃れをする不届き者が多数いたが、現在はその言い訳は通じない。

 2024年11月1日施行の改正道路交通法により、原動機を用いず、ペダルのみを用いて走行させる行為も、一般原動機付自転車等(特定小型原動機付自転車以外のバイクで、さらにエンジンやモーターの定格出力によって第1種と第2種に分けられる)の運転に当たることが明確化された。

 よって、ペダル付き電動バイクのモーターを用いず、ペダルを用いて、人の力のみによって走行した場合でも、一般原動機付自転車等としての以下のような交通ルールなどが適用されるのだ。

● 運転免許が必要、車道通行、ヘルメットの着用義務等があること。無免許運転の罰則は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金

● 制動装置、前照灯、後写鏡等を備えていること。整備不良車両運転の罰則は、3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金

● 自賠責保険(共済)の契約をしていること。無保険運行の罰則は、1年以下の懲役または50万円以下の罰金

● 市町村税条例で定める標識(ナンバープレート)を取り付けていること。

事故れば人生終了!? 無免許・無保険モペットが招く悲惨な結末

自分は大丈夫という甘い考えが、多くの人の人生を狂わせることになる(Luluraschi@Adobestock)
自分は大丈夫という甘い考えが、多くの人の人生を狂わせることになる(Luluraschi@Adobestock)

 現在、違法なペダル付き電動バイク(電動モペット、フル電動自転車)を利用している人のなかには、「捕まらなければいい」「自分は大丈夫」と甘い考えを持っているケースもあるが、万が一事故を起こした場合の現実はそう甘くない。

 2024年10月4日夜、無免許かつ飲酒をした状態で、世田谷区千歳台の一方通行の区道を、違法な電動モペットで逆走。男性(57)の自転車に衝突して頭に重傷を負わせたうえ、友人を身代わりとして出頭させたとして、自動車運転処罰法違反(無免許危険運転致傷)と犯人隠避教唆の疑いで、東京都世田谷区に住む私立大学生(22)が逮捕されている。

 2025年5月に下された判決では、懲役3年の実刑を言い渡されたが、被害者への賠償金は1~2億円になるという。自賠責保険や任意保険に加入していなければ、まず支払うことのできない金額であり、被害者だけでなく、自らの人生も壊すことになるのだ。

 自転車だって歩行者と接触すれば重傷、もしくは命の危険もあるのに、その倍の速度が出て、より重量のある電動モペットとぶつかったとなれば、その被害の程度はより酷くなることは想像できるだろう。

販売業者も摘発続出! 国民生活センターが警鐘を鳴らす実態

こちらも違法な電動モペット。インターネットで簡単に買えるからと、安易な考えで手を出すことは控えてもらいたい。販売する業者すべてが真っ当な商売をしているとは限らない
こちらも違法な電動モペット。インターネットで簡単に買えるからと、安易な考えで手を出すことは控えてもらいたい。販売する業者すべてが真っ当な商売をしているとは限らない

 販売する業者側も、「知らなかった」「お客が勝手にやったことだ」では済まされない。

 2025年に入って、違法なペダル付き電動バイク(電動モペット、フル電動自転車)を、電動アシスト自転車だと偽って販売したとして多数の業者が摘発されている。

 この問題を重く見た、独立行政法人 国民生活センターが、2023年に大手インターネット販売サイトで販売されている「電動アシスト自転車」について、道路交通法の基準に適合するかを調査したところ、以下のような結果を報告した。

[1] 10銘柄中9銘柄でアシスト比率が道路交通法の定める上限値を超え、基準に適合していない。うち6銘柄は、その上限値を大きく超え、人の力をほとんど要さずに一定の速度まで加速してしまった。
[2] 10銘柄中5銘柄は、商品が届いた状態でスロットルのような装置が付いており、その内の2銘柄は操作すると加速してしまい、基準に適合していないと考えられる。
[3] 10銘柄中7銘柄に、押し歩き補助機能と類似した機能が搭載されていたが、いずれも乗車した状態で作動してしまい、基準に適合していないと考えられる。

 ほとんどの銘柄が適合していなかったということに驚くことだろう。この結果を受けて、国民生活センターは販売業者向けに、道路交通法の基準に適合していないにもかかわらず、道路を通行できるかのような紛らわしい表現等で販売しないように要望を出している。

 近年はネット通販で簡単に購入できることもあり、ペダル付き電動バイクの販売時に、店側がナンバープレートの設置義務や自賠責保険の加入義務などについて、顧客にきちんと説明していないケースも散見される。

 運転者自身はもちろん、販売店にも法令を遵守する意識を持つことが必要だ。

次ページは : 違法モペットに乗る前に知っておけ! 違法状態を解消する最後のチャンス

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