車内が冷えないのはナゼ? 真夏の車内が灼熱地獄に…!?  エアコンが利かないホントの理由

車内が冷えないのはナゼ? 真夏の車内が灼熱地獄に…!?  エアコンが利かないホントの理由

 昔はクーラーさえないクルマもあった。しかし、この猛暑下ではエアコンをオフにしてからほんの数分で車内は灼熱地獄に。エアコンなしなんて考えられない! そこで今回は「おや?」と思った時のチェック法も含めたカーエアコンの話を。

文/山口卓也、写真/写真AC

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カーエアコン、冷房と暖房の違いは?

 まずはカーエアコンの仕組みを簡単に説明しよう。

●冷房

 カーエアコンの冷房は、液体が気体になる際の気化熱を利用して空気を冷却している。気体であるエアコンガス(冷媒)をコンプレッサー(圧縮機)で圧縮すると高圧の液体となる。

 この液体をエキスパンションバルブ(膨張弁)の小さな穴からエバポレーター(熱交換器)に噴霧。この中で気体となる時の気化熱を使って空気を冷却し、その冷たい空気をブロアファン(送風機)が吹き出し口から放出する仕組みだ。

●暖房

 家のエアコンと異なるのが、クルマの暖房はエンジンの熱を利用している点。エンジンを冷却するために循環させているラジエター液(冷却水)はエンジンが稼働している間は100℃前後となり、この温水をヒーターコア(熱交換器)に通す際にファンで風を当て、その温風を車内の吹き出し口から放出する仕組み。

 よって、暖房はA/Cスイッチがオンでなくとも、エンジンさえ温まっていれば使うことができる。

カーエアコンの故障が大事故につながる可能性も!

車内が冷えないのはナゼ? 真夏の車内が灼熱地獄に…!?  エアコンが利かないホントの理由
マグネットクラッチが作動すると「カチッ」という音がエンジン付近から聞こえる。A/Cスイッチを入れた時にこの音がするかどうかで、エアコンが正常に作動しているかを確認できる

 エアコン、特に今の時期の冷房の故障は致命的。

 熱中症の危険はもちろん、ボーッとして運転に集中できず事故を起こしてしまう可能性もあり「ただの故障だから……」と放置してしまうと取り返しのつかないことにもなりかねない。

 そこで最初に確認してほしいのが「A/Cスイッチがオフになっていないか?」と「マグネットクラッチの作動音がするか?」である。このふたつに関しては、メカに詳しくなくともチェックできると思うので、まずはここから。

●A/Cスイッチがオフになっていないか?

 「そんなバカな!」と思われるかもしれないが、冷房の不要な時期ならA/Cスイッチがオフでも送風や暖房は使えるため、暑い時期になってから「冷房が利かない!」と訴えるドライバーのなかにはA/Cスイッチがオフのまま……という人は一定数いるという。

●マグネットクラッチの作動音がするか?

 エンジンをかけてA/Cスイッチをオンにするとエンジン付近から「カチッ!」という音が聞こえるだろうが、アレが作動音。マグネットクラッチはエンジンの動力をコンプレッサーに伝達または切断してくれるもので、エアコン作動時のエンジンのパワーロスを抑えたり、燃費に影響をあまり与えないよう常に制御されたオンオフを行っている。

 「カチッカチッカチッ!」といった連続音でなく、「カチッ!」という作動音がするのはエアコンが正常に稼働している証拠。

 「しっかり冷気は出るけど、たま〜にぬるい風が出る」場合はこのマグネットクラッチや制御リレーが故障している可能性も。

冷房が利かない原因は?

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オートモードは風量や内外気を自動制御するため、冷房効率が良く、エアコンがよく利くと感じやすい。ただし、自動調整のために風向きや温度が思い通りにならず、使いにくさを感じることもある

 まずは冷房が「あまり」利かない場合の原因を。ただし、「あまり」であり、「冷風は出ているがぬるい風」「風量がかなり弱い」などの状態の場合だ。

●外気導入モードになっていないか?

 カーエアコンのモードには「外気導入」と「内気循環」のモードがあり、暑い時期に外気導入モードになっていると、熱い外気を車内に入れながらエアコンシステムによって冷気を作り出そうとしているようなものなので、冷房効果は非常に薄くなってしまう。

●エアコンフィルターが汚れてないか?

 エアコンシステム内で冷気を作り出すと、内気循環・外気導入ともにエアコンフィルターを通過し、空気をきれいにしてくれる。この時、エアコンフィルターが著しく汚れていると冷気の流れが悪くなってしまい風量がかなり弱くなる。

 エアコンフィルターはDIYでも交換可能で価格も安価。可能であれば、毎年や車検時に自身で交換してみるのもお薦め。

●エアコンガスの不足や詰まりが発生していないか?

 冷房の故障で最も多いと言われるのがエアコンガス不足。冷媒であるエアコンガスが不足すると圧力が不足し、エバポレーターに噴霧してもすぐに気化。空気をしっかり冷やすことができなくなる。

 エアコンガスは経年劣化や振動などにより、各経路のパイプの小さな穴や接続部からの微小な漏れでも不足する。「昨年はエアコンガス補充で冷房が利いたのに、今年は……」な場合は、どこかから漏れているはず。

 「あまり利かない」どころか「まったく利かない」場合は、エアコンガスがほとんど入っていないことも……。  
 ここからは、冷房が「全然」利かなくなった場合の考えられる原因を。

・マグネットクラッチの故障
・制御リレーの故障
・コンプレッサーの故障
・エアコンガスが完全に漏れている
・エキスパンションバルブの故障
・ブロアファンの故障

 など、このように原因は多岐にわたる。これらの何が故障しているのかを突き止めるためには、後述もするが専門ショップでみてもらうしかない。

次ページは : A/Cスイッチは季節を問わず積極的に使用する

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