嬉しいような悲しいような…見た目は輸入車、中身はジャパン! ちぐはぐ名車列伝

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 どこからどう見ても海外メーカーのクルマ。だが、実際の中身は日本製だった!? 自動車メーカーのグローバル化が進んだ結果誕生した「外国車の皮を被った日本車」は意外に多い。今回はそんな“隠れ日本車”を紹介していこう。

文/長谷川 敦、写真/いすゞ、スズキ、日産、三菱自動車、メルセデスベンツ、CarWp.com、Newspress UK

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実は日本製のヨーロピアントラック&SUV

●メルセデスベンツ Xクラス

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2018年に販売が開始されたメルセデスベンツ Xクラス。日産 NP300ナバラとプラットフォームを共有しているが、キャビンはNP300ナバラより広い

 2016年にドイツのメルセデスベンツが公開した同社初のピックアップトラックがXクラス。

 典型的なピックアップトラックフォルムに“ベンツ顔”が意外にマッチしていたこのXクラスは、実際には日本製モデルのパーツが多数使用されていた。

 ベースになったのは日産が2014年にデビューさせたピックアップトラックのNP300ナバラ。

 ピックアップトラックの大きな市場でもあるタイで発表されたNP300ナバラは日産製ピックアップトラックの12代目にあたり、基本性能の高さに加えて数多くの先進機能も装備されていた。

 そんなNP300ナバラがXクラスのベースになったのは、当時のルノー日産アライアンスとメルセデスベンツの協力関係によるもの。

 Xクラスのプラットフォームは日産製だが、キャビンはXクラスのほうが広く、顔つきの違いもあって外観上はNP300ナバラとXクラスの関係には気づきにくかった。

 実はNP300ナバラにはルノー アラスカンという兄弟車もいて、こちらは顔つき以外はほとんどNP300ナバラと同じクルマであった。

 Xクラスの正式発売は2018年だったが、販売成績を伸ばすことができず、わずか2年後の2020年には生産終了が決定されている。

●プジョー 4007/シトロエン Cクロッサー

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プジョー初のSUVモデルがこの4007。顔つきは完全にプジョーのそれだが、中身は三菱自動車の初代アウトランダーで、製造も日本国内で行われていた

 フランスのプジョーとシトロエンは昔から関係が深く、両社がほぼ同じ内容のモデルを別名で販売したケースもある。

 それは2007年に登場したSUVのプジョー 4007とシトロエンCクロッサーでも同様だったが、興味深いのが、そのどちらもボディがほぼ日本車だったこと。

 実は4007&Cクロッサーは三菱自動車の初代アウトランダーをベースにしたモデルであり、ボディと室内の基本コンポーネンツはほぼアウトランダーそのまま。

 外観、特に顔つきに関してはプジョーとシトロエンの独自デザインになっているものの、クルマにちょっと詳しい人ならすぐにアウトランダーの兄弟であることがわかったはず。

 エンジンこそPSA・プジョーシトロエン(当時)とフォードが開発したものを搭載していたが、車体の組み立ても三菱自動車の国内工場で行われたため、日本の色はかなり濃かった。

 プジョー初のSUVであり、4007には期待がかけられていたにもかかわらず、Cクロッサーとともにセールスは振るわず、2012年に販売が終わっている。

見た目もほとんど日本車の海外モデル

●オペル アギーラ(初代)

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オペルから2000年に発売されたアギーラの初代モデル。トールワゴンのシルエットやグリル周りのデザインはスズキ製ワゴンR+そのものといってよい

 ここでは本稿のタイトルから少々外れるが、見た目もあまり海外車っぽくないモデルを紹介していく。

 スズキのワゴンRシリーズは、車高を高く設定することで室内空間を確保し、さらに使い勝手に優れたオシャレなクルマとして人気を集めた。

 そのワゴンRのワイド版であるワゴンR+(プラス)が、海を渡ってドイツ・オペルからアギーラの名称で販売されることになった。

 アギーラの初代モデルは2000年に登場したが、その姿はほとんどワゴンR+そのもので、グリルに装着されたエンブレムでようやくオペル製であることがわかるほど。

 もちろん、海外メーカーから販売されるからといって必ずしも見た目を変える必要はないのだが、もう少しオペルらしさを前面に打ち出してもよかったのではないかと思われる。

 そんなオペル アギーラの初代モデルは2007年まで生産が行われ、2代目のアギーラもスズキ製造のモデルだったが、ワゴンR+ベースではなくなり、スズキからはスプラッシュとして販売された。

●GM GEO ストーム

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GM GEO ストーム。ヘッドライト周りの造形は異なるが、ボディフォルムはベースとなったいすゞ ジェミニ(3代目)とまったく同じといえる

 GEO(ジオ)はアメリカのゼネラルモーターズ(GM)が1989年に設立した小型車販売用のブランドだが、注目すべき点なのが、すべての車種が日本メーカーのOEM、あるいは共同開発だったこと。

 当然ながら、各車種には北米向けのアレンジも施されていたものの、なかには見た目もほぼ国産車というモデルもあった。

 ストームもそうした1台であり、兄弟車はいすゞのPAネロ。製造も日本の工場で行われていた。

 正確には、ストームのベースになったのはいすゞの3代目ジェミニであり、PAネロはそのストームの日本仕様というべきだが、いずれにせよ両車はひと目で関連があると理解できるほど似ていた。

 ストームはアメリカ国内で好調な売れ行きをみせたが、1993年のいすゞの乗用車市場からの撤退に伴い製造・販売が終了している。

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