流行り廃りは世の常ではあるのだけど、一大ブームを巻き起こしたものでも、後から振り返ると「何であんなに流行っていたのだろう?」と思うこともしばしば。クルマの世界にも常にある流行り廃り。超絶ブームを巻き起こした輸入車を当時のブームとともに振り返ってみたい。
文:奥津匡倫(Team Gori)/写真:BMW、メルセデスベンツ、プジョー、ボルボ、シボレー
「六本木のカローラ」とあだ名された……E30型BMW 3シリーズ
クルマで見栄を張るとか、乗っている車種が女子受け(≠モテる)に直結していた1980年代後半。多くの人が“いいクルマに乗りたい”と思っていた時代。とりわけ男子は必死にいいクルマに乗りたがった。
そんな時代に大ウケしたのがBMW「3シリーズ(E30)」。当時、BMWを始めとする“ガイシャ”のブランドイメージは今よりもずっと高く、国産車よりも上と評価をされることも多かったため、モテたい男子の憧れアイテムだったのだ。
なかでも当時のBMW 3シリーズ(E30)は5ナンバー枠に収まり、かつ300万円台から買えたとあって、背伸びをすれば何とか手が届く高級ブランド車だった。バブル景気の後押しもあり大ヒット。そのため、当時の六本木界隈ではカローラ並みに走っていると言われ、「六本木カローラ」なるあだ名まで登場したほど。
そんなブームで多くの人がBMWならではの魅力に触れたことでその人気は確固たるものとなり、次世代のE36時代になるとさらに人気は拡大。日本でもっとも売れた3シリーズとなっていく。
メルセデスユーザーの裾野を広げたW201型190E
今や幅広いクラスにモデルをラインナップするメルセデスだが、かつてはほぼ高級セダンのみで、今以上に身近なブランドではなかった。その裾野を広げる役割を担ったのが1985年から日本でも発売開始されたメルセデス「190E(W201)」だ。
5ナンバー枠に収まるサイズと排気量は、雲の上の存在だったベンツを「買えるかも!?」と思わせるのに充分なインパクト。小さくてもそこはベンツである。そのステータス性は誰もが認めるところ。販売時期がバブル期と重なったこともあり大いに人気を博した。
ナリは小さくてもベンツはベンツ。価格は500万円ほどと、当時羨望の存在だったソアラの3Lモデルよりもはるかに高額だった。それでも当時はバカ売れ。「小(こ)ベンツ」なるあだ名で呼ばれるほどよく見かける存在となった。
教習車に採用する教習所もあったりして、初めて触れた輸入車はメルセデス190Eだった、という人もいるのではないだろうか? その後、Cクラスへと続き、今日に至る礎となった。
ボルボが日本で大躍進を遂げるきっかけとなった「850」
日本でも古くからボルボは販売されていた。しかし、細々といった感じで、メジャーブランドとは言い難いものだった。
それが大きく変わったのが1992年に発売されたボルボ「850」の登場。それまでのボルボとは共通点のないブランニューモデルであり、それまでのイメージを大きく覆したところに折からのワゴンブームが後押しとなり、大ヒットとなった。
旺盛なニーズは正規モデルだけでは賄えきれず、並行輸入車も大量に流通したほどのブームとなっていた。






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