10月ごろには新税制の姿がみえるか!??
このように、今回の自動車関連諸税の改革のポイントは、クルマを買うときの負担をどう簡素化するか、保有時の課税を排気量ではなく重量に一本化できるか、そしてカーシェアや物流サービスの拡大といったモビリティ社会全体の恩恵を踏まえ、クルマの所有者だけに負担を押し付けない新しい仕組みを模索することの3点となっているようです。
ただ、都市部と地方ではクルマの必要性も大きく異なります。公共交通が整った都市と、日常生活がクルマなしでは成り立たない地方とで同じ税負担を強いることが公平なのか、こうした視点も避けては通れないと筆者は考えます。環境性能の評価に関しても、本来は、パワートレインの種類だけではなく、製造から廃棄までのライフサイクル全体でのCO2排出量も評価項目に加えるべきでしょう。
一方で、財源確保も重要です。特に地方にとっては、自動車関係税収は貴重な税財源。今回の税制改革によって、環境性能割や自動車税(軽自動車税)などの地方税が廃止となり、地方に負担を強いることがないよう、国・地方を通じた安定的な財源確保をするという視点も必要です。
トランプ関税の発動により、これまで2.5%だった米国向けの関税が(25%からは下がったものの)15%となりました。これに連動して(国際経済が低調になることで)各国の新型車販売も競争が激化し、各自動車メーカーは国内市場に力を入れ始めています。いっぽうこのまま「日本国内でクルマが買いづらい税制度」だと、各自動車メーカーは国内市場に力を入れたくても入れられない状況が続いてしまうでしょう。
内需拡大と国内雇用の確保のためにも、現代の日本において数少ない「世界で勝てる産業」である自動車産業を守り育てるためにも、日本の自動車税制は重要な局面に入っています。自動車の普及や道路整備は(自動車ユーザーだけでなく)日本国民全体に役立つはず。ぜひとも広く長い視野にたって、モビリティ社会全体と日本国全体に資する税制を組み立ててほしい。こういう声に、政治家の皆さんはぜひ耳を傾けてほしいです。
「自動車関係税制のあり方に関する検討会」は、10月を目途に内容をとりまとめるとしています。ガソリンの暫定税率廃止の件とともに、「ガソリン暫定税率は廃止したからもういいでしょ」というガス抜きで終わらないよう、「単なる税の付け替え」にならないよう、引き続き注視していきたいと思います。











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