■この10年で【シャシー&サスペンション】はどれだけ進化した?
クルマの走りを支える重要コンポーネントであるシャシーのなかでも、この10年で格段に進化したのが、ステアリング機構です。
10年前、当時すでにコラムアシスト式などの電動パワーステアリング(以下EPS)システムが登場していたものの、その操舵感は従来の油圧式パワーステアリング(以下油圧式PS)に慣れたドライバーにとっては違和感がありました。
そのため、燃費低減が求められる時代であったにもかかわらず、操舵感が重要な高級車においては、エンジン出力を使うために燃費低減に貢献できない油圧式PSが採用されたのです。
しかし2010年頃、ラックアシスト式のEPSが登場したことで、油圧PSに近い操舵感を実現でき、これにより、高級車にもEPSが採用されることになりました。
また、2016年には日産が、機械的な接合がない操舵装置、ステアバイワイヤ(商品名はDAS)を現行型スカイラインへ世界初搭載したことも話題となりました。
シャシーに電子制御の波が来たのも2010年代。シャシー制御とは、ABSやVDC、トラクションコントロールを制御することで、クルマの安定性を高め、かつ思いどおりのコーナリングが得られるよう、統合制御をすることです。
現在では、エンジンの駆動力とブレーキを制御することで、デコボコ道での乗り心地と安心感を向上させるインテリジェントライドコントロール(2014年エクストレイル)など、ハンドリングにとどまらない部分まで、シャシー制御は広く採用されています。
シャシーに関してはほかにも、2010年に周波数感応式ダンパー(日産現行フーガに初搭載)、2010年頃にはヤマハのパフォーマンスダンパー(高級車にオプション設定)、また、2009年には、乗り心地性能が改善された第3世代のランフラットタイヤなども登場しています。
●10年前の100点としたの場合の進化度は…120点
■この10年で【トランスミッション】はどれだけ進化した?
2006年登場のレクサスLSに世界初の8速ATが搭載されて以降、2014年にはレンジローバーイヴォークに9速ATが、2017年にはレクサスLC500に10速ATが、それぞれ乗用車世界初搭載されるなど、近年、多段化が進んだATですが、所望するレシオカバレッジとトランスミッション本体のサイズと重量、コストを考慮すると、10速ATが上限段数だと言われています。
また、CVTは、当初からの課題であった、ラバーバンドフィール(エンジン回転上昇と加速感が伴わない現象)も解消されつつあり、特に、2018年レクサスUXに搭載された、トヨタのダイレクトシフトCVTや、2018年登場のクラウンの電気式無段変速機(10段変速制御のCVT)などは、CVTとは思えないリニアな加速フィーリングを実現。
また、2010年代にVWゴルフをはじめとして搭載車が増えたDCTは、キレのあるすばやい変速により、スポーツドライビングを好む世界のドライバーから絶大な支持を獲得しましたが、渋滞の多い日本では発進時のギクシャク感がネガティブに取られ、進化を続ける多段ATやCVTに人気が流れています。
マニュアルミッションは、2011年登場のポルシェ911(タイプ991)カレラ、カレラSに設定された7速MTが、この10年で出た最多段となります。
ほかにも、コルベットC7(2014年)やアストンマーチンV12ヴァンテージS(2016年)にも7速MTが設定されましたが、この10年で8速MTは登場していません。
ちなみに過去の最多段MTは、三菱初代ミラージュ(1978年)に搭載の副変速機付き8段です。
●10年前の100点としたの場合の進化度は…130点
コメント
コメントの使い方