中韓や欧米に遅れをとっている感のある日本のBEVだが、良品廉価で定評のあるスズキが、いよいよ初のBEVを登場させる。スズキ初の電動SUV「eビターラ」に3人の自動車評論家が試乗し、三者三様、思い思いに評価する!!
※本稿は2025年9月のものです
文:竹岡 圭、橋本洋平、塩見 智/写真:スズキ、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2025年10月10日号
否が応でも期待が高まるスズキ初のEV
軽快さと冒険心。その両方を叶えてくれるコンパクトEVこそが、スズキ初の電動SUV「eビターラ」だ。コンパクトながらも広い室内を設けており、日常の使いやすさとEVならではの力強い走りを両立、航続距離は400kmから500km以上の3モデルを設定している。
紙のベストカーでは、2025年8月26日号にて袖ケ浦フォレストで実施された試乗会のレポートを掲載。担当した鈴木直也氏は、「良品兼価」をテーマにeビターラを評価。走りのクオリティも高く、ハンドリングのバランスも良好、現時点では未定の価格についても期待を寄せた。
今回eビターラのレビューを担当するのは竹岡圭氏、橋本洋平氏、塩見智氏の3人だ。
完成度の高さが光る! 自然な走りと性能に驚き(竹岡 圭)
「ウチは後発なので、他車をとことん研究し、市場ユーザーの声もたくさん盛り込みました」と、仰るだけのことはありました。「スズキさん、やるじゃ~ん!」と、思わず車内で叫んだほど、スズキ初EVは完成度がメチャクチャ高く、ネガティブ方向で気になるところは正直言ってありませんでした。
クルマの動きはすこぶる自然。EVらしいダイレクト感とパワフルさはもちろん、ドライブモード切り替えでの性格の出し方も多彩だし、いわゆるワンペダルモードも備えられ、回生ブレーキを持つがゆえの協調制御的なブレーキペダルの違和感もない。
EVに初めて乗る方でも違和感なくドライブできると断言できるフィーリングをさらに上回る「これ、メッチャいいクルマじゃん!」レベルの出来栄えだったんです。
それだけでも凄いけれど、SUVとしてもしっかり作り込まれているので、お薦めは4WDモデル。前後の駆動力配分を活かした、スポーティかつ安定安全な走りもしっかり考慮されている。
また、最低地上高が185mmあるから大丈夫と高を括ってラフロードに突入してみたところ「あれれ? どこかのタイヤが空転しちゃって動けな~い!」なんていう時の脱出モード(トレイルモード)まで備えられているので安心です。こうなると気になるのは……価格だけですね♪
●竹岡 圭氏の採点チェック
・ハンドリング:10点
・加速性能:10点
・乗り心地:10点
・静粛性:10点
・内装の質感:10点
・技術的な先進度:9点
走りはまだまだ伸び代あり! 今後の完成度に期待大(橋本洋平)
スズキが初めて手掛けることになる量産電気自動車「eビターラ」。
プラットフォームはEV専用のHEARTECT-eを採用し、モーターとインバータを一体化したeAxleをコンパクトに設計したことで、タイヤハウスをしっかりと確保。ステアリングの切れ角を大きくしたこともあって最小回転半径5.2mを達成することで取り回しがしやすかった。
全長×全幅×全高が4275×1800×1640mmでホイールベース2700mmということもあり、コンパクトサイズと言いながらチト大きいのが気にならないところがイイ。
また、この手のサイズのわりに4WDグレードを準備したところもさすが。同ジャンルでこれからライバルになりそうな日産リーフは4WDを考えていないと宣言していただけに一歩リードかもしれない。内外装の質感も高いし死角ナシか!?
ただ、プロトタイプに乗った感覚はまだ未完成のようにも感じた。FFモデルで車重1.8トン、4WDでは約1.9トンとなるわりに、シャシーがソフトすぎるようなフィールがあったからだ。
また、うねる路面では収束しきれず、またコラムアシスト式電動パワーステアリングが生み出すアシストにリニアさがなく、応答遅れがあった。正式発表となった時、一体どんな仕上がりになるのかが気になるところだ。
●橋本洋平氏の採点チェック
・ハンドリング:5点
・加速性能:7点
・乗り心地:6点
・静粛性:7点
・内装の質感:8点
・技術的な先進度:7点



















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