日本を代表するコンパクトスポーツモデル、スイフトスポーツ。
現行である4代目スイフトスポーツは、140ps/23.4kgmを発生する1.4リットルのガソリン直噴ターボを搭載し、970kgという軽量ボディを、6MTもしくは6速ATで軽々と走らせる。
シンプルな車両構成のおかげか、車両価格は187万円から、という圧倒的な低価格。同じく、ライトウェイトスポーツである、トヨタ86やマツダロードスターといったスポーツモデルが、260万円を超えている中で、際立ってコスパが良い。
なぜスイフトスポーツはこんなにもコスパに優れているのだろうか。その理由を紐解いてみた。
文:吉川賢一、写真:スズキ、トヨタ、ベストカー編集部
なぜスズキは楽しいクルマを安く作ることができるのか?
GT-RやNSXのようなモンスタースポーツから、フェアレディZやスープラのようなハイパフォーマンススポーツ、86/BRZのようなライトスポーツ、そしてスイフトスポーツなどのライトウェイトスポーツまで、ひと口にスポーツモデルといっても、そのカテゴリはいくつかある。
そして、一般的に、絶対的な速さが求められる上級モデルになるほど、車両は重たくなり、同時に、車両価格も上がっていく。
そんな中でスイフトスポーツは、与えられている目標性能が独特で、純粋に「操る楽しさ」を求めたクルマ作りがされている。
速いタイムや、加速度の高さを提供することよりも、決してハイテクではないけれど、クルマを期待通りに操ることができ、いつも走っている道なのに、なぜか楽しく感じることができる、そういった感覚を目指しているのだ。
絶対的なエンジンパワーを上げ、それに見合った高剛性サスペンションや強靭な車体で武装し、ほぼレーシングカーのようなマシンに仕上げるよりも、適度なエンジンパワーに見合ったコンパクトなボディ構造と、シンプルで軽量なサスペンションを使う、そのため、適度な車両価格で出すことに成功しているのだ。
性能に隙があるのが逆に良い?
そして、「もっと速さが欲しい、もっとクルマを曲がるようにしたい」というユーザーのため、タイヤサイズをアップしたり、強化サスペンションを交換したり、デフを入れたり、エンジンチューニングをしたりと、クルマを改造できるように、わざと隙を残している。
しかも、クルマのサイズが小さいことでパーツ費用も安くすむ。スイフトスポーツは、実に扱いやすいスポーツモデルなのだ。
時代の流れに乗るように、4代目スイフトスポーツには6MT仕様にもACCが搭載された。また、誤発進抑制機能や車線逸脱抑制機能といったセーフティパッケージや、全方位モニター用カメラパッケージもオプションで設定している。
しかも、それらオプションをフル搭載しても、車両価格は税込202.6万円、これまた驚かされる価格である。
スイフトスポーツには、ヘビーなユーザーだけでなく、ライトユーザーも多くいる。こうした先進安全装備は、当然、安全のために搭載していって欲しいと思う。
しかし、矛盾しているかもしれないが、趣味性の高いクルマは完璧な姿でなくても良いと筆者は思っている。
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