群馬県太田市といえば、いわずと知れたスバルのお膝元。2023年にはタイヤメーカーのミシュランも本社を移し、「モビリティの街」はますます元気だ。そんな太田市が毎年1回、「次世代自動車試乗会」というイベントを開催している。今年も秋晴れが気持ちいい10月18日に催されたので、群馬出身の筆者(ツノダ)が様子を目撃してきた!
文と写真:ベストカーWeb編集部
群馬県で初めてゼロカーボンシティを宣言した町
試乗会の会場となったのは、太田市南西部に位置する「道の駅おおた」。埼玉の熊谷と群馬の前橋・渋川を繋ぐ通称「上武バイパス」沿いにある施設なのだが、広い駐車場と物販施設があっていつも賑わっている。筆者も山芋やら卵やら、地元の品を手に入れるためにときどき立ち寄る場所である。
オープンの10時少し前に現地に着くと、駐車場の一角にノボリがたなびき、すでにクルマ好きと思われる人たちが興味深そうにクルマを眺めている。ブースを構えたのは地元スバルにトヨタ、日産、ホンダ、ダイハツ、BYDという6社の販売ディーラー(スバルは群馬製作所も参加)だが、タイヤ無料点検サービスという形でミシュランも加わる。
なんと今年で9回目となるというこのイベントを、太田市はなぜ始めたのだろうか。産業環境部長の笠原純一氏に尋ねてみると、スバルの企業城下町ということもあり、もともとクルマに対する市民の興味・関心が高かったことが土台にあるという。
自動車の脱炭素化が叫ばれるようになるとおのずとその方面にも意識が高まり、2017年には市として環境省の進める温室効果ガス削減運動「COOL CHOICE(クールチョイス)」に賛同、さらに2020年には群馬県の市町村として初めて「ゼロカーボンシティ」を表明したのだそうだ。
具体的にこの動きは、エコキュートや太陽光パネル、蓄電池の導入支援などへと発展したそうだが、もちろん自動車への取り組みも忘れていない。それが「次世代自動車試乗会」なのだ。
群馬と意外な縁があるメーカーも
試乗会を訪れた人は、受付を済ませて気になるクルマに試乗する仕組みだが、昼前にはもう、終了時刻である14時までの枠がほとんど埋まる盛況ぶりだった。
出展ブースを回ってみると、面白い事情も分かった。たとえばスバル。地元だけに初回から皆勤賞かと思ったがさにあらず。今年が2回目だという。聞けば理由は明快。「次世代自動車というからには、少なくともストロングハイブリッドだろう」とのことで、クロストレックとフォレスターのS:HEV、そしてソルテラの投入を待っていたという。スバルの真面目さを感じた次第。
お次はシーライオン7を持ち込んだBYD。「群馬には縁は薄いだろ」と思ったのだが、筆者の不勉強だった。実はBYDは2010年、太田市に本社を置く車体金型メーカー「オギハラ」の館林工場を買収している。これがBYDの乗用車の質を高める大きなステップとなったのだ。
さらにいえばその館林市内ではBYD製の電動バスが走っているというし、スバルの工場内でも、職員の移動用などにBYDのバスが使われているという。BYDがこれほど群馬と接点があるとは意外だった。
さらにはミシュラン。前述のとおり本社を太田に移転したのは2023年だが、はるか前の2017年からタイヤの無料点検サービスを実施してきたそうだ。
このサービス、「ミシュラン製に限る」なんてケチなこと言わないのがミソ。点検作業も実に気合が入っており、複数のスタッフがクルマに飛びつき、指定空気圧の確認から空気圧計測&補充、溝の残量チェックまで行う様は、レーシングカーのピット作業のようだった。












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