「2やL、B」は本当に不要? Dレンジに入れっぱなしは大間違いな理由

「2やL、B」は本当に不要? Dレンジに入れっぱなしは大間違いな理由

 最近のオートマチック車やCVT車は、ほとんどの人がDレンジに入れっぱなしで走行しているのではないだろうか。ドライバーの多くは「2」や「L」「B」といったレンジを使ったことがない、もしくは意味を知らないかもしれません。そんな人に正しい使い方を解説します。

文:ベストカーWeb編集部/写真/ベストカーWeb編集部、Adobe Stock(トビラ写真:あんみつ姫@Adobe Stock)

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DレンジだけでOK? 「2やL、B」の意味とは

DとLの間に2ポジションが配置されているジムニーの4速AT
DとLの間に2ポジションが配置されているジムニーの4速AT

 AT車やCVT車を運転する際、Dレンジだけで十分と思っている人が多いと思います。確かに街乗りや高速道路の巡航では、トルクコンバーター式ATも自動制御が優秀になり、シフトショックをあまり感じなくなってきました。

 しかし、「2(セカンド)」や「L(ロー)」の位置が残っている理由は、あえて設けることで、走行状況に応じた制御をドライバーが選べるためです。

 つまり、「Dレンジでは自動的に最適化される」といっても、極端な条件ではドライバー自身の判断が安全を左右することになるのです。では2レンジやLレンジの実際の使用シーンは以下の通りです。

●雪道での走行

 通常の雪道では、無理に「2」を使わず、Dレンジのままでアクセルをゆっくり踏み発進します「2」レンジは発進時にタイヤが空転しやすい場合や10~20km/hで長時間低速走行の場合に有効です。また「L」レンジは雪に埋まってスタックした時や急な坂道を登る場合に有効です。

●坂道での走り方

 長い下り坂などでDレンジで走行したままブレーキを多用していると、フェード現象やペーパーロック現象が発生し、ブレーキペダル踏んでもブレーキが効かなくなってしまう場合があります。

 そんな時には「2」レンジに入れることでエンジンブレーキを活用しながらブレーキ操作との併用を行うのがいいでしょう。それでも速度が落ちない時にはもう一つ下のLレンジがあればそれを使います。上り坂で速度が落ちた場合にも有効です。

 ただし、「D」からいきなり「L」といった具合に極端に低いギヤへのシフトダウン操作はNG。エンブレが効き過ぎて急減速は同乗者に不快な思いをさせるばかりか、ブレーキランプが点灯しないため後続車にとって迷惑なだけでなく追突する危険をも伴います。扱いに慣れるまで充分注意しましょう。

各車のATはそれぞれP→R→N→D→マニュアルモードの+−、P→R→N→D→2→Lなど、Dレンジのほかに、Lレンジ、Sレンジ、M+−など、さまざまなパターンがある
各車のATはそれぞれP→R→N→D→マニュアルモードの+−、P→R→N→D→2→Lなど、Dレンジのほかに、Lレンジ、Sレンジ、M+−など、さまざまなパターンがある

CVT車やハイブリッド車は?

 CVT(無段変速機)にも「L」や「S」レンジが存在します。CVTは構造上、段階的な変速をしませんが、内部的には変速比の範囲を制御しており、「L」レンジは低速域に固定、「S」レンジはエンジン回転数が高くなり、アクセルを踏んだ際のレスポンスが良くなります。

 特にハイブリッド車ではエンジンブレーキと回生ブレーキのバランス制御に関わるため、「B」レンジ(ブレーキレンジ)を設けているケースもあります。「B」レンジは下り坂での回生効率を高めるだけでなく、ブレーキ操作の安定にも寄与します。

プリウスはDレンジの下に「B」レンジを設定
プリウスはDレンジの下に「B」レンジを設定

 ハイブリッド車とガソリン車では各レンジの設定は異なる場合もあります。例えばトヨタ車はガソリン車がDレンジ+M(マニュアルモード)、ハイブリッドには「B」レンジ、ホンダはガソリン車が「S」レンジ、ハイブリッド車には「B」レンジ、日産のe-POWER車は「B」レンジで回生制御を強化しています。スバルのCVTはDレンジ+M(マニュアル)モードを設定しています。

 ATやCVTがどれだけ進化しても、「S」「L」や「B」レンジが設定されているのは、ドライバーが状況に応じてモード切り替えが行えるようにしているのです。

ステップワゴンe:HEVのシフトスイッチ
ステップワゴンe:HEVのシフトスイッチ

 DレンジからBレンジなどに切り替えることでブレーキのフェードを防げますし、タイヤを長持ちさせる運転にもつながります。Dレンジだけにしないで、必要なときに手動で制御できるのが理想ではないでしょうか。たしかに日常の9割はDレンジで十分かもしれません。しかし残る1割のシーンで、「2」や「L」、「B」レンジを積極的に使いたいですね。

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