「修復歴あり」と「事故歴あり」は同じじゃない!? 中古車選びで混同しがちな2つの違い

「事故車」とは何か?

「修復歴あり」と「事故歴あり」は同じじゃない!? 中古車選びで混同しがちな2つの違い
本来は全損扱いになるはずの事故車でも、オーナーが追加で費用を払って修理したり、あるいは安く買い取った中古車業者がコストを抑えた修理で復活させ市場に出ることもある。修復歴や修理品質の確認が必要だ

 「事故車」と「事故歴」は似た言葉だが、一般的に「事故車」というと「修復歴のあるクルマ」のことを指す場合が多い。

 一方、「事故歴」とは「事故にあった履歴自体」を指すが、事故に遭ったことや事故によってフレーム以外の修理の履歴を表示する義務はない。事故歴があったとしても、フレーム部分に損傷が生じていなければ「修復歴はない」のでもちろんその表示義務もない。

 つまり、何も「気になる歴」のないクルマのように見えてしまう。

 ただ、我々が注意したいのは冠水車である。「冠水車」とは水没したクルマのことだが、JAAIではその基準として

・浸水が室内フロアよりも上まで達したクルマ
・浸水した跡が複数箇所あるクルマ

 を指している。

 この冠水車、驚くべきことだが法的には中古車販売店に表示義務はない。よって、れっきとした冠水車であっても車内がキレイに清掃され、各部の小さな汚れやかすかな臭いを車両チェック時に気づかなければ購入する可能性は十分ある。

 ただし、法的に表示義務はないといっても、冠水車であると故意に隠しながら「冠水車ではない」などの表示や説明を行ったり、冠水車であるのに「著しく優良である」と誤認されるような不当表示を行なった場合は景品表示法に抵触する場合がある。

 この冠水車、「信用」をウリにする優良中古販売店などでは冠水車とわかった時点で「販売しない」という選択をすることが多いようだ。

 冠水車はどんなにキレイに清掃しても、しばらく乗るうちに「エアコンを稼働させるとなんか臭う」「どこかカビ臭い」「電装系のトラブルが出始めた」などの違和感を感じるようになる。

 中古車を購入する時には

・トランクルーム(+工具やジャッキ)にサビはないか?
・トランクルーム内がカビ臭くないか?
・トランクマットやフロアマットが交換されていないか?
・各部位に粉末状の汚れがないか?
・シートベルトを引き出して、汚れのある部分は出てこないか?

 などはチェックすべき。特に臭いには要注意である。

「修復歴なし・事故歴なし」でも完全に無傷のクルマじゃない!?

「修復歴あり」と「事故歴あり」は同じじゃない!? 中古車選びで混同しがちな2つの違い
JAAI認定の中古車査定士が在籍する店舗なら、修復歴の有無を示す鑑定書の提示も可能だ。
逆に、提出を渋るようなら要注意

 多くの中古車購入者は「修理をしたクルマはそれが元でまた何か不具合が起きそうだから避けたいし、そもそも人身事故を起こしたクルマはちょっと……」と思うもの。

 しかし、ここまで読んでくると、「たとえ人身事故を起こして損傷したクルマでも、フレームに損傷がなければ修復歴の表示義務はないし、事故歴にはそもそも表示義務がない。そして冠水車であっても法的な表示義務はない」ことは理解してもらえたはず。

 中古車である以上、どこかに小さな修理跡があったりするのは避けられないが、自身がクルマを選ぶ際に「ここだけは!」という点があるなら、必ずショップに相談。

 その際に、「車両検査表や査定表を見せてくれない」「あやふやな回答でごまかしている感じ」など、誠意を感じられないと思ったら購入は見合わせるべき。

 逆に、ショップにとってメリットではないことも、購入者が聞かなくともきちんと説明してくれるようなショップであれば購入を検討する価値はあると思うのだ。

【画像ギャラリー】「修復歴あり」と「事故歴あり」は別モノ?(7枚)画像ギャラリー

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