信号無視 乱横断 ながらスマホ… 歩行者は道交法違反で処罰されないのか?

歩行者の責任が重くなる交通事故のケースとは

横断歩道以外の道路で横断する乱横断も増えている
横断歩道以外の道路で横断する乱横断も増えている

 交通違反切符は切られないといっても、例えば横断歩道のない道路、しかも横断禁止の場所を渡ってクルマと接触してしまったら、歩行者にも責任がおよぶことになる。

 信号のある横断歩道での赤信号を無視した横断と、横断歩道以外での横断、いわゆる乱横断が禁止されていることを知らない大人はいないだろう。

 それと歩道がある道路では原則歩道を歩くよう義務付けられている。デモやお祭りなどで大人数が練り歩くような状態では車道を歩く(その場合は道路使用許可などを取得する必要がある)ことが定められているがそれ以外、例えばジョギング中のランナーも歩行者であり、車道を走っている人も見受けられるが、あれは道交法違反なのである。

 したがって、例えば黒づくめの服装で薄暗くなった夕方以降に車道を走っているような状況で、クルマと接触事故を起こしてしまったら、もちろんドライバーに歩行者に注意して走行する義務はあるが、歩行者であるランナーの方も責任が問われることになる。

 令和元年に発生した交通事故の死者3215人のうち、約4割が歩行者である。さらに歩行中死者の約6割には、歩行者側にも横断違反や信号無視などの法令違反があった。交通事故による全死者数3215人の4分の1は、自身も法令違反をしていた歩行者ということになる。

 実際、2018年6月には、その年の1月に静岡県で起こった歩行者とオートバイによる交差点での接触事故では、オートバイの男性が死亡したこともあってか、歩行者の男性が書類送検されている。

 この歩行者は酒に酔い、横断歩道の赤信号を無視して、周囲の安全も確認せずに渡ったことで、オートバイと接触してしまったのだ。

 書類送検とは、事件や事故の書類が警察から検察へと送られるもので、刑事上の事件(事故)として取り扱う必要がある、と判断したことを意味する。

 すべての事故や事件を検察に送ってしまったら、検察がパンクして処理し切れなくなるから、物損だけの交通事故や、示談が成立している事故など比較的軽度な被害の事件は送検されないのだ。

 書類送検され、検察が裁判にかけて刑事上の責任を負わせる必要がある、と判断した場合は起訴されることになる。

 検察で起訴の必要がない(すでに社会的に制裁を受けている等の理由で)と判断されれば、不起訴や起訴猶予という処分になり、刑事上の責任は問われないことになるのだ。

 ちなみに件の事故の場合、オートバイの男性も書類送検されているが、すでに亡くなっているため不起訴になるのは間違いない。

 歩行者の男性も首の骨を折る重症であるし、責任を問われるとはいえ、最終的には不起訴、あるいは起訴猶予になる可能性も高いと思われる。

 それでもオートバイの男性の遺族から民事裁判を起こされて損害賠償を請求されれば、慰謝料を支払うよう命令を受ける可能性はある。

歩行者と自動車の事故が起きた場合、過失割合はどうなる?

 ここで気になるのは事故が起こった場合の過失割合だ。まず、歩行者が青信号で横断を開始し、四輪車が赤信号で交差点に進入し衝突した場合の基本過失割合は、「歩行者0:運転者10」。

 横断歩道を渡る歩行者側の信号が赤だった場合、明らかに事故原因の一端は歩行者にあり、信号無視の歩行者と自動車による交通事故の基本過失割合は「歩行者7:運転者3」と、歩行者に不利になる。

 信号規制がなく、かつ横断歩道以外で道路を横断する歩行者と自動車が衝突した場合の基本過失割合も「歩行者7:運転者3」となる。

 また、ここ数年耳にする、夜間、街灯が少ない暗い道路に横たわっている歩行者と自動車が接触した場合は「歩行者5:運転者5」となる。

※いずれも事故の状況によって実際に決定した過失割合と「基本過失割合」が異なる場合がある。参考サイト:アクサダイレクト

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