1人の監視員が複数の車両を遠隔監視する
2025年8月、京都府精華町のけいはんな学研都市エリアで、アイサンテクノロジー、NTTドコモビジネス、奈良交通、京都府、精華町、同志社大学モビリティ研究センターが自動運転大型バスの実証運行を実施した。
「全国各地でレベル4の実証運行が行われていますが、遠隔監視員や保安員の配置が必要で、社会実装に向けて人件費のコストが課題のひとつになっています。けいはんな学研都市での実証運行は、往復約 3kmを運転者ありで行うレベル2ですが、1人の遠隔監視員が複数の車両を同時に監視する『1:N遠隔監視』を実施しました。
私たち同志社大学は通信技術の技術指導を行い、複数のモバイル回線を統合して、ひとつの安定した回線として利用し、ネットワーク帯域を変化させることで通信を安定させるなど、遠隔監視の実現に向けた成果が得られました」。
異なる通信規格で行う実証実験の現状を憂う
2027〜 2030年の自動運転普及を目指して、さまざまな省庁や組織の予算で実証実験が行われているが、それぞれが独自に実施して、足並みが揃わないことが問題視されている。
「例えば、新東名高速道路では、国土交通省が自動運転トラックの合流支援の実証実験を行い、NEXCO中日本は車両と路側機の情報から路面状況や道路の障害物を監視する路車協調の実証実験を行っています。また一般道でも別の実証実験が行われています。
これらはそれぞれ、通信の仕様や仕組みが異なるため、このまま開発が進んで実装されたら、高速道路や一般道など通過する場所によって通信方法を変更しなければならず、クルマに搭載する端末に負担がかかる。共通の仕組みを考えて、プラットフォームができれば、無駄な労力もコストもかかりません」。
佐藤教授は、自動運転が実現した時のことを考え、通信規格の共通化を強く求めている。
「実証実験に参画する企業を公募する時に、条件が曖昧だったり、バラバラなんですね。ヨーロッパだと先に仕様を決めて、それに基づいてみんなでシステムを作ろうという感じなのですが、日本は受託した企業が自分たちができる仕様で作りあげてしまう。
『通信の仕様を同じものにしてほしい』と関係各所でお願いしていますが、ユーザーになるベストカー読者の皆さんにも知っていただいて、声をあげてほしいと思います」。
情報通信プラットフォームをオープンソースに
国内の自動運転の実現に向けて、佐藤教授から驚きの情報公開があった。
「先にお話しした、私たちが開発している車両間通信や、路車間通信による協調型自動運転の情報通信プラットフォームを2026年度にオープンソースとして公開しようと考えています。
ダイナミックマップの利用や、情報通信を行うための通信データ管理やセキュリティ保護などをそのまま使用できるので、歩行者への警告・車線変更・合流調停など、自動運転に必要なアプリケーションの開発を行ってほしい。それぞれの機能に集中した開発が誰でも自由に行えることで、協調型など自動運転の実現が高まることを期待しています」。
また佐藤教授は、新東名高速道路の一部の区間で実験利用が始まっている5.9GHz帯の周波数の使用に注目している。
「自動運転の高度化を目的としたV2X(Vehicle-to-Everything )通信に、国際標準の5.9GHz帯の周波数の使用を早期に許可してほしいと思っています。この周波数帯を利用してすでにアメリカやヨーロッパ、中国で自動運転用に活用する取組が始まっています。
日本においては新たな周波数帯を利用して情報通信プラットフォームを構築し、これまでの協調型ITSの応用例に加えて、自動運転車両の協調走行や細かな道路課金など、安全性と利便性を向上させる多様なサービスが利用できるように研究を進め、社会実装できるようにしたいと考えています」。
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