レベル4の完全自動運転は、思ったより近いのか遠いのか……産官学連携による国内実証は広がる一方で、事業化では米中に後れを取る現実がある。一体日本の自動運転はどうなるのか?! なんと京都の同志社大学で自動運転を研究する佐藤俊哉教授に、お話を伺うことができた!! 差を埋める鍵はクルマと道路がつながる協調型自動運転!?
※本稿は2026年1月のものです
取材・文:寺田鳥五郎/協力:同志社大学モビリティ研究所、京都府
初出:『ベストカー』2026年2月10日号
「自動運転」の最前線! 研究者に現状を聞いた!
クルマの完全自動運転は、いつ実現するのか? 国内で実施されている自動運転バスなどの実証実験は100を超えるが、限定地域の特定条件下で完全自動運転を行う「レベル4」と呼ぶ走行は、 8件にとどまる(2025年6月現在)。
ところがアメリカや中国では、レベル4の無人配車タクシーサービスがすでに事業化されていて、日本との差は大きく広がっている。
そのような状況下で注目を集めているのが、クルマ同士やクルマと道路をネットワークでつなぎ、情報を共有することで、事故を未然に防いで安全を確保する「協調型自動運転」である。
この研究と実証実験を行っている同志社大学モビリティ研究センター長の佐藤健哉教授に、最新の研究内容について、お話を伺った。
道路とクルマ、クルマ同士の情報交換で自動運転
ITS(Intelligent Transport Systems)は、人・クルマ・道路を最先端のエレクトロニクス技術で一体化させる高度道路交通システム。カーナビや高速道路のETCなど、すでに私たちのカーライフに当たり前の存在になっている。
同志社大学モビリティ研究センターの佐藤教授は、道路とクルマ、クルマとクルマが情報共有を行う「協調型自動運転」の実現を目指し、リアルタイムデータの収集、処理、配信技術の研究を行っている。
従来のITSが協調型自動運転に向けてさらに発展すれば、自動運転による本線合流、車線変更、交差点通過が可能になり、安全・安心・快適なクルマの走行が実現するのである。
「ドライバーは周囲の状況を見ながらクルマを運転しますが、自分の前を走るクルマの前方や、交差点の死角を目視できません。私たちは常にリスクを抱えながら運転しており、極端な話、全車両が常に低速でゆっくり運転すれば事故は回避できます。
しかし交通状況を考慮すると現実的ではない。また、自分のクルマに搭載されたカメラやレーダーといったセンサーの情報だけを利用した自律型自動運転には限界があります。そこで、自分以外のクルマのセンサーの情報を共有することによりあらかじめ何が起きているか状況がわかれば、安全な自動運転ができるのです」。
道路に設置した路側機が死角ゼロで事故を回避
交差点で右折する時、対向車線の右折車両の脇から直進するバイクが飛び出して、驚いた経験は誰もがあるはず。これは自動運転も同じで、車載カメラなどのセンサーの死角が課題のひとつになっている。
「バスの乗客が立っていれば、ゆっくりと発車する必要があり、特に交差点右折時では時間確保のために、対向車線の約200m先まで安全確認する必要がありますが、クルマのセンサーは100〜150mが限界です。
そこで交差点に「協調型路側機」を設置することで、交差点で起きる事故を大幅に減らすことができます。具体的には路側機のセンサーが、運転手の死角に存在するクルマやバイク、自転車、歩行者、信号などの情報を収集。『直進車が来る』という情報を右折待ちのクルマに伝えることで、右直事故は回避できます」。
現在の日本の自動運転は米中に大きく差をつけられているが、佐藤教授は、協調型路側機との通信による自動運転で日本は世界で勝負できると考えている。
「アメリカや中国の無人配車タクシーは、車載カメラで車両周辺を監視し、AI系アルゴリズムで運転操作を行っています。これまでに日本で取り組んできた車両間通信や路車間通信を基盤とした協調型自動運転は、まだ世界のどの国も実用化できていません。自律から協調へと発展させた自動運転が日本から始まり、それが世界標準になることは決して夢ではありません」。
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