路面スリップの罠と「チェーンが効かない」真実
火山灰が積もった道路の走行は、雪道以上に困難を極める。特筆すべきは、雪対策の定番であるタイヤチェーンが火山灰には通用しないという点だ。
NHKが行った実証試験では、チェーンを装着した車両がまったく歯が立たずに空転し、立ち往生する様子が報じられた。雪は圧雪されることでチェーンが食い込むが、火山灰は粒子が細かく、圧力がかかると流動体のように逃げてしまうため、摩擦力が全く得られないのだ。
乾燥した灰の上は砂漠を走るように滑りやすく、2WD車はわずか10cmの積灰で走行困難に陥る。さらに雨が降ると事態は最悪だ。灰が水分を含むと「泥濘」状態になり、わずか3cmの厚みでもスタックが続出する。
この状態でブレーキを踏んでも、タイヤと路面の間に水の浮いた灰が入り込み、氷の上を滑るような状態になる。雪とは物性が根本から異なるため、スタックしたクルマによる大規模な渋滞と立ち往生は避けられない。
視界不良とガラス損傷の二次被害
最後に、ドライバーの視界を奪う物理的被害だ。降灰が始まると、フロントガラスはまたたく間に灰に覆われる。ここで焦ってワイパーを動かすのは厳禁だ。先述の通り火山灰は硬いガラス片を含んでいるため、ワイパーで灰を引きずれば、フロントガラスに無数の深い傷が刻まれる。一度傷がつくと、対向車のライトが乱反射して視界が白濁し、研磨しなければ回復しない。
ウォッシャー液を噴射しても、大量の灰を洗い流すには不十分であり、むしろ灰を泥状にして視界をさらに悪化させる。信号機に灰が付着して灯色が見えなくなる現象や、停電による消灯も重なれば、もはやクルマでの移動は自殺行為に等しい。
とにかく、大量の降灰はクルマにとって百害あって一利なし。降灰が予想されたら走行など持ってのか。クルマをカバーで覆うか屋内に退避させ、一切動かさないことが、愛車と自分自身を守る手段といえそうだ。
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