富士山の大規模噴火に対する備えが叫ばれている。大噴火が本当に起きれば、首都圏をはじめとする広範囲に火山灰が降り注ぐが、こいつはクルマにとって単なる汚れでは済まされない。精密機械であるエンジンや電気系統を容赦なく破壊し、わずかな積灰で道路網を麻痺させる「ガラスの凶器」だ。降灰がクルマに及ぼす致命的な被害と、雪とは根本的に異なる火山灰の危険性を詳しく解説しよう!
文:ベストカーWeb編集部/写真:Adobestock(トビラ写真=JIN@Adobestock)
【画像ギャラリー】火山灰のカーライフはここに気を付けろ!(9枚)画像ギャラリーエンジン吸気と内部摩耗が引き起こす致命的な故障
ガソリン車やディーゼル車にとって、火山灰の吸入は死活問題だ。火山灰の正体は岩石が粉砕された微細な「ガラス質」であり、これがエンジン内部に入り込むと強力な研磨剤として作用する。
まず犠牲になるのがエアクリーナーだ。火山灰はフィルターの目を瞬く間に塞ぎ、エンジンが息をつくための空気を遮断する。吸気不足に陥ったエンジンは出力が急激に低下し、最終的には窒息するようにエンストを起こす。
さらに恐ろしいのは、フィルターを通り抜けた微細な粒子がシリンダー内部に到達することだ。ピストンとシリンダー壁の間で灰がこすれ合い、金属表面を削り取ることで圧縮漏れを誘発し、エンジンの寿命を物理的に終わらせる。オイルに混入すれば潤滑性能が破壊され、各部の焼き付きを招く。一度こうなれば、修理には数十万単位の費用がかかるか、エンジン載せ替えを余儀なくされるだろう。
空調目詰まりと電装系ショートの恐怖
車内の快適性を維持する空調設備も、降灰時には弱点へと変わる。エアコンが外気導入設定のままだと、外部の灰がそのままフィルターに吸い込まれ、あっという間に目詰まりを起こす。これにより送風が止まるだけでなく、車外の熱交換器であるコンデンサーの隙間に灰が堆積すれば、冷却効率が極端に低下してオーバーヒートを引き起こす原因になる。
電装系への影響も見過ごせない。火山灰は乾燥状態では電気を通さないが、雨を吸って湿り気を帯びた瞬間に通電性を持ち、導電体へと変貌する。配線のコネクタやヒューズボックスの隙間に灰が入り込み、そこに水分が加わればショートが発生する。現代のクルマは高度な電子制御によって動いているため、基板やセンサーがショートすれば、走行中であっても突然制御不能に陥るリスクがある。自動ブレーキ用のカメラやミリ波レーダーの表面に灰が付着すれば、安全支援システムも即座に機能を停止する。
EVも無傷ではない? 冷却システムと充電の罠
エンジンがない電気自動車(EV)は吸気系のトラブルこそ免れるが、特有の脆弱性を抱えている。EVの心臓部である駆動バッテリーやモーターは、走行中に激しい熱を発するため、常に冷却ファンやラジエーターで冷やし続ける必要がある。この冷却経路に火山灰が詰まれば、システム全体が異常過熱を起こし、安全のために車両がシャットダウンしてしまう。
また、充電ポートも大きな懸念材料だ。充電口に微細な灰が入り込んだ状態でコネクタを差し込めば、接触不良や端子間のショートの可能性がある。自宅での充電はおろか、公共の急速充電スタンドも灰に埋もれれば使用不能になるだろう。災害時の移動手段として期待されるEVだが、降灰下では電源確保すら困難になる可能性が高い。












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