トヨタ bBが陥ったワナ 人気車だったのになぜ凋落? 【偉大な生産終了車】

トヨタ bBが陥ったワナ 人気車だったのになぜ凋落?  【偉大な生産終了車】

 毎年、さまざまな新車が華々しくデビューを飾るその影で、ひっそりと姿を消す車もある。

 時代の先を行き過ぎた車、当初は好調だったものの、市場の変化でユーザーの支持を失った車など、消えゆく車の事情はさまざま。

 しかし、こうした生産終了車の果敢なチャレンジのうえに、現在の成功したモデルの数々があるといっても過言ではありません。

 訳あって生産終了したモデルの数々を振り返る本企画、今回はトヨタ bB(2000-2016)をご紹介します。

【画像ギャラリー】初代、オープンデッキ、そして2代目。若者たちのニーズを満たすべく進化したbBの軌跡をギャラリーでチェック!!!

文:伊達軍曹/写真:TOYOTA


■存在感抜群! 若者たちの「思い思いの使い方」を実現すべく登場した新コンパクトカー

 最初から「ユーザーの好みに応じたカスタマイズ」をされることを前提としたトールワゴンとして、初代は2000年に登場。

 それは目論見どおり若いユーザーの心をつかんでヒット作となったが、続く2代目はユーザーの嗜好を読み間違えて失速。

 結果として2代限りで消えていった小型トールワゴン。それが、トヨタbBだと言えるでしょう。

 1993年発売の初代スズキ ワゴンRが切り開いた「トールワゴン」のブームはその後、登録車にも普及。1990年代の末期は、背が高くて四角いボディの初代日産キューブに大きなサブウーファーを付けるようなカスタムが若年層の間で流行していました。

 そういったムーブメントの果実を総取りすべく(?)トヨタが開発したのが、2000年1月の東京オートサロンで発表された初代bBでした。

一目でわかる存在感あるトールボックスデザインと、若者の様々な使い方をサポートできる広く快適な室内空間を特長とする新コンパクトカーとして登場したbB。「bB」は、未知の可能性を秘めた箱「ブラックボックス」のイニシャルから名付けられた。

 ボクシーな外観は若干ワルな感じですが、基本的にはシンプル系なデザインで、箱型ゆえに広大な車内スペースは、自分なりの有効活用ができそうな作り。

 さらにシートは前後フルフラットになるため車中泊にも利用可能で、フラットなラゲッジフロアも「いろいろな使い方ができそう!」という予感を抱かせる設計でした。

 多種多様な純正カスタムパーツを用意し、そしてアフターパーツメーカー各社からも大量のドレスアップパーツがリリースされた初代トヨタbBは、目論見どおりというかマーケティング戦略どおりに大ヒット。

 ピックアップトラックタイプの「bBオープンデッキ」を2001年に追加したり、マイナーチェンジや仕様変更などを重ねながら、2005年12月まで販売されました。

bBオープンデッキ。販売不振により2003年8月で生産を終了した

 そして2005年12月、bBは満を持して2代目へのフルモデルチェンジを敢行しました。

 初代bBはヴィッツシリーズと車台を共用していましたが、2代目bBは「小回り性能を良くするために」という名目で、ヴィッツより小さなパッソ用のプラットフォームを採用。

 しかし「車内の広さ」はbBという車の大きな訴求ポイントですから、ホイールベースを延ばすことによってもちろん車内は広く作られています。

 エクステリアデザインは、初代が「ちょっとワルだけど、基本的にはシンプルなBOX」であるとしたら、2代目は「トヨタが考えるワルな造形」と言えるでしょうか。

 ボディパネルの各所にさまざまな「うねり」が付加され、ヘッドランプやテールレンズもかなりデコラティブな(装飾的な)形に変更されました。

 2代目bBは純正オーディオにも力を入れていて、最上級グレードには9つものスピーカーを装着。

 さらには「マッタリモード機能付フロントシート」という、フロントのシートを沈み込ませることで外からの視線をさえぎり、快適な姿勢でくつろげるモード……なんてモノも用意されていました。

 ちなみに2代目トヨタbBのテーマは「クルマ型Music Player」です。

 そのような意欲作だった2代目bBは、初年度こそけっこうな数が売れましたが、年を追うごとに販売は失速。

「まるで売れない不人気車」というほどではありませんでしたが、今ひとつパッとしない状況が続き、結局は2016年8月に販売を終了。

 2016年11月に発売となった「トヨタ タンク」が実質的な後継モデルと言えるかもしれませんが、直接的な後継モデルは不在となっています。

次ページは : ■ベース車の変更と「お節介」!!? bBが2代目で消えた2つの理由

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