■ベース車の変更と「お節介」!!? bBが2代目で消えた2つの理由
初代はヒット作となったbBでしたが、「クルマ型Music Player」としてのさまざまな工夫がこらされた2代目は、いったいどこがいけなかったのでしょう? なぜ、生産終了となってしまったのでしょうか?
理由は2つあります。というか実質的には後述する1つの大問題点が、bBというブランドを“殺した”と考えられます。
まず第一にいけなかったのは、ベースとなる車台をヴィッツ系のファンカーゴから、さらに小さなパッソ系の車台へと変更したことです。
もちろんこれは、トヨタとしては良かれと思ってやったことでしょう。
パッソ系の車台を使えば最小回転半径は小さくなりますし(5.5m→4.9m)、製造原価を抑えれば、結果として若年層ユーザーに手頃なプライスで車を届けることができます。
しかし当の若年層ユーザーは、そもそも「最小回転半径」なんてものはほとんど重視していませんでした。
そして「パッソの車台に変えはしましたが、車内は相変わらず広いですよ!」というのが2代目bBだったわけですが、小さな車台に載ったボディを無理やり拡大したため、タイヤハウス(編集部注:タイヤとボディーの間にあるスペースのこと)はかなり小さいものとなってしまいました。
それの何がいけないかというと、タイヤハウスが小さいと、ユーザーは「大径ホイール&太いタイヤ」に交換することができなくなってしまいます(※できなくはないが、ちょっと難しくなる)。
大径ホイール&太いタイヤの功罪はさておき、カスタム好きなユーザーにとっては、そんな車は「論外」というほかないでしょう。
そして第2の問題は――というかこれこそが本質的な問題なのですが、2代目のbBは「すべてが押し付けがましかった」ということです。
初代bBは、若干ワルなテイストは入っていましたが、繰り返し述べてきたとおり基本的にはシンプルなデザインで、言わば「自分なりのカスタムを楽しむための、まだ何も描かれていない真っ白なキャンバス」みたいなものでした。
ユーザーとしてはその純白のキャンバスを、自分なりのセンスで埋めていく作業に楽しさと満足とを覚えていたわけです。
しかし2代目は、初代が成功してしまったことがむしろ悪影響を及ぼし、「皆さんはこういうのがお好きなんですよね?
わかりました、じゃあ最初からいろいろなモノをご用意しておきますね!」とばかりに、親切心からなのでしょうが、ユーザーからすれば「押し付けがましい」としか思えない各種要素をてんこ盛りにしました。
うねりとクセの強いボディデザイン。前述したマッタリモード機能付フロントシート。「音楽ユニットに囲まれたDJブースのような空間を演出した」というインパネ回り。
音と連動して光が明滅し、まるでクラブやライブハウスにいるのような効果を生み出すというイルミネーション……等々です。
これらの装備はもちろん悪いモノではありませんでしたが、人は何でも「さあどうぞ!」的に完全な用意されてしまうと、シラけてしまうものです。
車のカスタムというのは「自分なりにやる」のが楽しいわけで、山登りだって「自分の足で登る」のが、大変だけど楽しいのと同じことです。
パッソの車台に変えたことなども敗因でしたが、このような「人間の心の機微」を今ひとつ読めていなかった点こそが、2代目トヨタbBの根本的な敗因だったと言えるでしょう。
■トヨタ bB(2代目) 主要諸元
・全長×全幅×全高:3800mm×1690mm×1635mm
・ホイールベース:2540mm
・車重:1120kg
・エンジン:直列4気筒DOHC、1297cc
・最高出力:92ps/6000rpm
・最大トルク:12.5kgm/4400rpm
・燃費:15.2km/L(10・15モード)
・価格:184万8000円(2005年式 Z Qバージョン)
【画像ギャラリー】初代、オープンデッキ、そして2代目。若者たちのニーズを満たすべく進化したbBの軌跡をギャラリーでチェック!!!
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