世界の多くの企業が自動運転で鎬を削っているが、日本でもおなじみ中国のBYDが思い切った手を打ってきた。自動運転システムを利用中に事故が起きた場合、一定条件のもとで経済的損失を補償するという。事故の責任をメーカーがとる!?
※本稿は2026年6月のものです
文:角田伸幸/写真:BYD、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2026年7月26日号
「事故の責任をとるのはメーカー」という時代が来る!?
自動運転と聞くと、もうクルマが全部ドライバーの代わりに運転してくれるように感じる。だが現実はまだそこまで甘くない。現在市販車に載る多くの機能は、あくまで「運転支援」。万一事故が起きれば、最終的に責任を問われるのはドライバーというのが基本線だ。
そこへ中国BYDが、なかなか強烈な一手を打った。
もともと同社は、中国市場向けに都市部NOA(ナビゲーション・オン・オートパイロット)、つまりナビに沿って市街地走行を支援する「天神之眼」というサービスを提供している。
その天神之眼の「5.0」というシステム利用中に万一事故が起き、ユーザー側に法的責任が認められた場合、なんと一定条件のもとで経済的損失を補償すると発表したのである。法令とシステム利用条件を守っていることが前提とはいえ、メーカーがここまで踏み込むのは異例だ。
ポイントは、これが単なる安全アピールではないことだ。中国ではEVメーカー各社が価格、装備、ソフトウェアを通じて、熾烈な販売競争を続けている。運転支援機能も「付いていて当たり前」になりつつあり、差別化はどんどん難しくなっている。
BYDは低価格車にも支援機能を広げ、自社開発の4nm車載AIチップも打ち出した。つまり「安い」だけでなく「技術も責任も持つ」とアピールしたいのだ。
この発表は市場にも響いた。テスラ株が一時下落したとされるのも、無理はない。FSD(フルセルフドライビング)を「監視付き」として展開するテスラに対し、BYDは責任の取り方で勝負に出た。
自動運転ビジネスの次の争点は、性能だけではない。誰が責任を背負うのか。そこに移り始めている。
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