パッソ&ブーンはなぜパッとしないのか? 売れているのに地味すぎる?

売れている割になぜパッとしないのか?

 答えは簡単で、パッとするところがないクルマだからだ。現代のクルマだけにこだわりなく使うのであれば大きな問題はないが、こだわりがあったり、パッソ&ブーンの最大のライバルとなる軽自動車と比べたら、アラが目立つ。

現行型ブーン
現行型ブーン

具体的には

・高速道路や峠道ではフラフラすることも少なくない足回り

・自動ブレーキの性能は日本車最低水準かつ運転支援システムもゼロではないけど乏しく、進化が著しい軽自動車とは話にならない

・インテリアをはじめ、全体的にクオリティが低い

 といったことが挙げられる。要するに魅力が薄いのである。それだけに「この内容でこれだけ売れている」ことの方がずっと驚異というか不思議なのだ。

売れているのはなぜなのか?

 その理由も考えればなくはない。

(1)特に地方には明確な理由なく「軽自動車はイヤだ」という人が一定数おり、そういった層が買う

(2)実際そういうケースがどのくらいあるのか、快適なのかは別にして、軽自動車は乗車定員4人なのに対しパッソ&ブーンは乗車定員5人

(3)(1)、(2)を考えれば、本当のところはともかくとしてホンダN-WGNのベーシックグレードは129万8000円なのに対し、パッソで自動ブレーキが着く最安のX”S”は126万5000円と安いといえば安い。

2019年フルモデルチェンジした新型N-WGN
2019年フルモデルチェンジした新型N-WGN

 しかし129万8000円のN-WGNは停止まで対応する先行者追従型のアダプティブクルーズコントロール、車線の中央をキープしようとするLKAS、日本車トップクラスに自動ブレーキなどから構成されるホンダセンシングが付き、クルマの質感はパッソ&ブーンを圧倒する。

 その上軽自動車の維持費の安さや処分するときのリセールバリューの高さもあり、総合すると長い目で見てパッソ&ブーンが本当に安く付くのかには大きな疑問はある。

(4)パッソ&ブーンの直接的なライバル車はそれぞれ1.2リッターの日産マーチと三菱ミラージュだ。

2020年4月にマイナーチェンジした三菱ミラージュ
2020年4月にマイナーチェンジした三菱ミラージュ

 2台は1リッターのパッソ&ブーンに対し自動車税が1クラス上なだけでなく、自動ブレーキの設定すらないマーチ、価格が143万3200円からのミラージュに比べればパッソ&ブーンはマシといえる。さらに日産と三菱はブランドイメージも低迷中だ。

(5)レンタカー用にそれなりに売れている可能性も考えられる。

 つまりパッソ&ブーンは決してハイレベルではないリッターカー同士の争いでは優勢で、特にパッソはそこに文句のないトヨタのブランドイメージとトヨタの販売力が加われば、一定数は売れるのはスッキリしないとしても納得はできる。

まとめ

 パッソ&ブーンはもしかするとトヨタで販売されている限り、ルーティーンのモデルチェンジを行っていれば、この程度は売れ続けるクルマなのかもしれない。

 しかしそれも情けない話であり、先々はパッソ&ブーンが軽自動車に完全にマーケットを奪われるということもないとは言えないと思う。

 幸い現在トヨタは絶好調、ダイハツも新しいDNGAテクノロジーの展開が始まったところとタイミングはいいだけに、次期モデルでは自動ブレーキをはじめとした基本性能の向上やスポーツモデルの設定など、日本車の性能を底上げするような魅力あるリッターカーになって欲しい。

 そうなれば日本だけでなく、新興国向けの国民車的存在になるなどパッソ&ブーンが新しい道を歩むチャンスも生まれるのではないだろうか。

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