発表3年いまだ続報なし!! モノコックの「電動ランクル」LAND CRUISER Seは本当に市販されるのか

ランクルは4シリーズへ拡大、トヨタのBEV展開も着実に前進

 LAND CRUISER Seの公開から約3年。この間、ランドクルーザーシリーズは大きな変化を迎えました。

 2023年11月にヘビーデューティー系の「70」が日本市場へ再導入され、2024年4月にはプラドに代わるライトデューティー系の「250」が発売。さらに2026年5月には、扱いやすいボディサイズでランドクルーザーをより気軽に楽しめる「ランドクルーザーFJ」も発売となりました。

 これにより、現在の国内向けランドクルーザーは、ステーションワゴン系の300、ライトデューティー系の250、ヘビーデューティー系の70、コンパクトなFJという4シリーズで構成され、いずれもラダーフレームを採用し、ランドクルーザーが重視してきた信頼性、耐久性、悪路走破性を受け継いでいます。従来のランドクルーザーが担ってきた役割を薄めることなく、それぞれの用途に応じてシリーズが拡充された格好です。

 トヨタ全体のBEV展開も進んでいます。欧州では、2024年12月にスズキからOEM供給を受ける「アーバンクルーザー」を発表。2025年3月には「C-HR+」を世界初公開し、新型「bZ4X」と合わせて、車格の異なる3台のBEVをそろえました。さらに2025年5月には、スバルと共同開発した「bZ Woodland」を北米で発表。その日本向けモデルは「bZ4X Touring」として、2026年2月に発売されました。

 中国では、2023年4月にセダンの「bZ3」を発売。その後、中国の現地開発体制を生かしたSUVの「bZ3X」、クロスオーバーの「bZ5」、大型セダンの「bZ7」を相次いで投入し、市場の需要に合わせたBEVラインアップを広げています。

 レクサスブランドでも、BEV専用モデルの「RZ」に続き、2026年6月にBEV仕様を設定した新型「ES」が日本で発売しました。さらに2026年5月には、レクサス初の3列シートBEVとなる「TZ」も世界初公開されており、2026年冬頃の日本発売が予定されています。

 ラダーフレーム構造を持つモデルにもBEVが登場しています。商用ピックアップトラックの激戦区であるタイで2025年11月に世界初公開された新型「ハイラックス」には、BEVモデルが設定されました。

 日本の新型ハイラックス(2026年5月発売)は2.8Lディーゼルのみですが、高い耐久性や走破性が求められる「働くクルマ」にBEVを設定し、アジアでの市販展開に踏み出したことは、トヨタが乗用クロスオーバーだけでなく、ラダーフレーム車の電動化にも取り組んでいることを示しています。

2026年5月に世界初公開されたレクサス「TZ」。「Driving Lounge」をコンセプトとするレクサス初のBEV3列シートSUVだ(写真はプロトタイプ)
2026年5月に世界初公開されたレクサス「TZ」。「Driving Lounge」をコンセプトとするレクサス初のBEV3列シートSUVだ(写真はプロトタイプ)
2025年11月にタイで発表となった新型「ハイラックス」のBEVモデル。タイでは「Hilux Travo-e」としてすでに販売されている(写真はプロトタイプ)
2025年11月にタイで発表となった新型「ハイラックス」のBEVモデル。タイでは「Hilux Travo-e」としてすでに販売されている(写真はプロトタイプ)

BEV計画は見直しへ、それでも「電動ランクル」の可能性は残る

 気になるのは、トヨタの次世代BEV戦略が、2023年に示された計画から変化していること。LAND CRUISER Seが発表されたジャパンモビリティショー2023では、レクサスが当時2026年の導入を予定していた次世代BEVのコンセプトモデル「LF-ZC」と、未来のビジョンを示唆するBEVフラッグシップコンセプトモデル「LF-ZL」を世界初公開しましたが、このうち「LF-ZC」については、投入時期の延期を経て、2026年には開発が中止されたと報じられています(なお、トヨタから開発中止についての公式発表はありません)。

 また、トヨタは2023年4月の新体制方針説明会で、BEVのラインアップを拡充し、2026年までに10モデルを新たに投入するとともに、年間販売台数を150万台まで増やす方針を示していましたが、期限まで残り4か月となった2026年8月時点の商品展開を踏まえると、2023年に示された計画は、当初の想定どおりには進んでいないと考えられます。

 ただし、BEVの商品展開が止まったわけではありません。前述したレクサス「ES」の投入やレクサス「TZ」の世界初公開のほか、2026年2月には北米向けの3列シートSUV「ハイランダー」にBEVを設定すると発表しています。

 電池の開発も続いているようです。トヨタは2025年10月、住友金属鉱山と全固体電池用正極材の量産に向けた共同開発契約を締結し、2027~2028年の全固体電池実用化を目指すと発表しました。

 投入する車種や時期を見直しながらも、BEVの商品化と技術開発は続けられていると考えられ、「LF-ZC」や「LF-ZL」とともにジャパンモビリティショー2023でレクサスが発表した、ギガキャストによるモジュール構造や低ハイトの次世代電池といった技術が、今後のBEVにどう生かされるのかも気になるところです。 

 これらの技術は、車体剛性の確保や車両パッケージングの自由度向上に寄与するもので、とくに低ハイトの次世代電池は、全高を抑えながら3列シートの室内空間と最低地上高を確保したいLAND CRUISER Seのような大型SUVにとって、大きな利点となるはずです。

トヨタが開発を進める「次世代電池(パフォーマンス版)」。電池パックの低ハイト化によって、車両デザインや室内空間の自由度を高めるとともに、低重心化にもつなげる狙いだ
トヨタが開発を進める「次世代電池(パフォーマンス版)」。電池パックの低ハイト化によって、車両デザインや室内空間の自由度を高めるとともに、低重心化にもつなげる狙いだ

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 ただ、2026年8月時点で、トヨタはLAND CRUISER Seの市販化や発売時期、パワートレーンなどを公式には発表していません。現段階では、2023年に提示されたコンセプトモデルという位置づけです。

 しかしながら、レクサス「TZ」や北米向け「ハイランダー」の3列シートBEVを発表しているほか、タイではラダーフレーム車のハイラックスBEVをすでに販売しており、次世代BEVに向けた技術開発も続いていることを踏まえると、「電動ランクル」が登場する可能性はあるといえます。今後のトヨタからの続報に期待したいところです。

【画像ギャラリー】ランクルなのにモノコック!? ジャパンモビリティショー2023に出展されたトヨタ「LAND CRUISER Se」(16枚)画像ギャラリー

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