新車を購入するとき、ほぼ全員が追加で選ぶことになるフロアマット。ほとんどの人が結局は買うものを、なぜメーカーは最初から標準装備にしないのか。その裏にある販売店の収益構造と、ユーザー側の見落としがちな注意点を整理する。
文:佐々木 亘/写真:ベストカーWeb編集部、トヨタ
【画像ギャラリー】購入しない人っているの?なぜフロアマットは別売りなのか(5枚)画像ギャラリーフロアマットなしで乗り出す人はほぼ存在しない
新車のカタログ価格には、多くの場合フロアマットが含まれていない。にもかかわらず、実際に商談を進めていくと、ほぼ100%に近い割合でフロアマットは購入されている。理由は単純で、フロアマットなしでクルマに乗るという選択肢が、現実的にほとんど存在しないからだ。
フロアカーペットがむき出しのまま使えば、靴底の汚れや泥、雨の日の水滴が直接カーペットに染み込み、数ヶ月で見苦しい状態になる。売却時の査定にも響くし、そもそも新車を買ったばかりのタイミングで床を汚したくないという心理は誰しもが持つものだろう。つまりフロアマットは、任意のオプションという建前でありながら、実質的にはほぼ必須装備に近い存在なのだ。
ほぼ全員が買うものを、なぜ標準装備にしないのか
ここで疑問に思うのが、ほぼ全員が購入するのであれば、最初から標準装備にしてカタログ価格に含めてしまえばいいのではないか、という点だ。しかし、これには販売店側の収益構造が深く関係している。
新車の車両本体価格は、近年の値引き縮小傾向から見えるように、利幅が薄くなっている。一方でディーラーオプションと呼ばれる後付け品は、車両本体よりも利益率が高く設定されていることが多い。フロアマット、ナビゲーション、ドライブレコーダー、コーティングといった一連のオプション群は、販売店にとって新車販売の減少を利益を補う、重要な収益源になっている。フロアマットを標準装備にしてしまうと、この収益機会がひとつ失われることになるわけだ。
もうひとつの理由として、車両本体価格を実際より安く見せるという価格戦略上の意味合いもある。カタログに記載される価格が安く見えれば見えるほど、購入の心理的ハードルは下がるだろう。フロアマットのような必須に近い装備をあえて価格から切り離しておくことで、本体価格の見た目を軽くする効果が生まれるのだ。
これは自動車業界に限った話ではない。家電や住宅設備など、様々な業界で見られる「本体価格を安く見せて、周辺費用で利益を確保する」という商慣習の一種と考えれば理解しやすい。
純正品と社外品、価格差は何を意味するのか
フロアマットの購入を検討する際に知っておきたいのが、純正品と社外品の価格差だ。ディーラーで案内される純正フロアマットは、車種専用に設計されているぶん、ペダル周りのフィット感やずれにくさに優れている一方、価格は数万円に達することも珍しくない。
一方、カー用品店やネット通販で購入できる社外品には、純正品に匹敵する品質のものから、格安ながら実用に耐えるものまで幅広い選択肢がある。特に汎用品ではなく車種別に設計された社外品であれば、純正と遜色ない使用感を数分の一の価格で得られるケースも多い。ディーラーコミッションの存在を理解したうえで、必ずしもディーラーオプションにこだわる必要はないというのが実情だ。








コメント
コメントの使い方