新型コロナ禍で重要とされた「パーソナルスペース」や「ソーシャルディスタンス」。とはいえ、公共交通機関を使うと、その距離を保つのも難しい。そこで注目されたのが、家で乗り込めば、目的地まで人と接触なく移動することができるクルマだ。
特に小さい子供を抱えた家庭では、幼稚園、保育園などへの送り迎えに便利ということで注目度が高かった。しかし、旦那さんは仕事で家におらず、普段運転しない奥さんが運転することになる家庭が多かったようだ。そのため、緊急事態宣言が発令される前は、自動車教習所のペーパードライバー講習に人気が集まった。
新型コロナウイルスとの付き合いは、緊急事態宣言が解除されたあとも続いている。となれば、これからクルマをまた運転しよう! という人もいることだろう。
今回はそんな久しぶりに運転する人が、どのような点に気を付けながら練習するべきか? コーチングする人はどのように教えると安全に行うことができるか? について解説していきたい。
文:国沢光宏/写真:Adobe Stock(metamorworks@Adobe Stock)
ベストカー2020年6月26日号
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■復帰の練習はクルマに慣れるところから! 気を付けたい練習過程
嫌でも新型コロナウイルスとしばらく付き合っていかなくちゃならない。となると公共の交通機関より感染の危険性が圧倒的に低いクルマを再評価する方向となることは間違いなし!
すでに免許を取ろうという人の動きも出てきているという。はたまたペーパードライバーが復活するというケースだって出てくるだろう。このコラムを読んでいただいているようなクルマの達人は、ぜひともペーパードライバーの運転コーチを引き受けてあげてほしいと思う。
まず運転の前に必ず行うべき準備から。やはり一番の課題といえば、教習車なら付いている助手席ブレーキがないこと。そこで最低限、助手席からニュートラルにする方法と、できれば駐車ブレーキを使える手段を確保しておきたい。
電子シフトに代表される昨今のクルマはニュートラルにすることも難しい。暴走してからじゃ遅いです。逆に、電動パーキングを引っぱるだけで安全停止する車種もあるから嬉しい。私なら助手席からブレーキペダルを押せるような長い棒を用意します。
第一段階はクルマに慣れることから始めたい。間違っても最初から街中を走らせたらアカンです。都道府県超え自粛期間中のため、同じ域内で交通量が”ほぼ”ないような場所を探し、そこでハンドルを握らせたらいい。
コース設定だけれど、最初は道路状況に集中力が分散しないよう、1周1㎞くらいのコースを設定すればよかろう。信号なくてもOK。一時停止と左折だけのコースならベストです。慣れるまで信号などなくたっていい。運転の基本と加減速をしっかり行なうようにしよう。
■上手になったら少し遠出 周囲との速度差を気にしよう
上手に運転できるようになったら、右折や信号待ちを含む2〜3kmのコースを設定する。その際、右折時の安全確認方法&タイミングをレクチャーするといい。何より大切なのは「モタモタしないことと、怖くて速度出せないのならトットと後続車に道を譲ること」を教えてほしい。
教習所のカリキュラムで最も足りないのが、後続車に道を譲るというマナー。ヘタでノロノロ走るのは仕方ない。でもそれは「交通の安全と円滑な流れ」をうたう道交法からすれば間違っている。
これまた上手に運転できるようになったら、流れのよい道を探してドライブに行こう。クルマの原点は「楽しさ」。都道府県内から出なくても、走っていて景色を楽しめる場所はいくらでもあるだろう。どこにも立ち寄らなければ、感染の危険性だってなし。
そもそもクルマの運転練習は生活のためだし、感染の危険性を減らすためのもの。数日間クルマのハンドルを握っていれば、ペーパードライバーでも運転できるようになると思う。
最後は自分の車庫から、クルマで行く目的地までの往復だ。ショッピングセンターでもいいし、職場でもいい。クルマの達人が隣に乗り、危険だと思われる場所の指摘と、コツを伝授してあげればよかろう。
皆さん前述の過程をすっ飛ばして自分の駐車場からコーチしようとするが、それだと運転することだけに注力してしまい、安全確保という点で好ましくない。運転の基本から入ることと、クルマの運転は楽しいということを教えてほしいと思う。
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