毎年6月から7月に、イングランドのグッドウッドで開催されるモータースポーツの祭典、「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」。イギリス南東部の風光明媚な土地で行われるこのイベントに登場した注目車をご覧いただこう。
※本稿は2026年8月のものです
文、写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2026年9月10日号
緑の丘にクルマ好きたちが集う
夢と興奮が入り混じる、唯一無二のフェスティバル。それが、年々熱狂が増しているグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードだ。
その始まりは、この地の主であるリッチモンド公爵が、祖父の代に途絶えた一族とモータースポーツの絆を、自らの手で結び直そうと願ったことにある。
かつての祖父のサーキットはすでに姿を消していたが、公爵は代々受け継いだ自邸の庭先に観客を招き入れ、緑の芝生の上へと新たな聖地を蘇らせたのである。
舞台となるのは、荘厳な館の正面から丘の斜面へと一気に駆け上がる、わずか1.87kmのヒルクライムコース。両側に積まれた干し草の壁が息をのむほど間近に迫り、木立の陰から現われる鋭いカーブが息つく間もなく連続。ドライバーにもマシンにも、一片の油断が許されない一本道だ。

訪れる客層もまた実に幅広い。正装に身を包んだ王族や著名人が芝生に腰を下ろす傍らで、家族連れも肩を並べ、4日間で約60万人が緑の丘を埋め尽くす。会場のいたるところで交わされている笑顔もまた、祭典を彩る景色のひとつだ。
そして何よりこのイベントを象徴するのが、コンマ一秒を削り合うタイムアタック合戦。伝説のF1はもちろん、往年の名車から最新のハイパーカーまで、ジャンルを問わぬ猛者たちが全開で丘を攻める。フィニッシュラインを越えると、割れんばかりのどよめきが沸き起こるまでセットだ。
歓声とエンジンの咆哮が重なり合う、最高のハッピーエンド。観客はその度に恋をする。それこそが、グッドウッドが30年以上も色褪せない魔法なのだ。
1.87kmの真剣勝負「グッドウッドヒルクライム」

ヒルクライムの真価は、コンマ一秒を削り合うタイムアタックだけではない。世界初公開の最新モデルや、まだ見ぬプロトタイプカーが初めて命の咆哮を上げる瞬間さえ、この美しい丘では日常だ。
それもただのデモランではない。マシンたちは野性を解き放ち、本気の全開音とともに目の前を切り裂いていく。その刹那、耳を突く爆音と立ち昇る熱気に、見る者の胸はどこまでも熱く突き動かされる。
2026年もまた、数々の伝説がこの坂を駆け抜けていった。そのなかから編集部が情熱を込めて選び抜いた奇跡の選抜車たちの姿(画像ギャラリーを参照)に、いま心を奪われてほしい。
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