これまで免税が当たり前だったEVの重量税に、2028年5月から新たな負担が上乗せされることが決まった。「特例加算」と呼ばれるこの新制度が、実際にどれほどの負担増につながるのか、現時点で判明している情報をもとに考えていく。
文:佐々木 亘/写真:ベストカーWeb編集部、トヨタ、ホンダ、日産、スズキ、スバル、三菱自動車
【画像ギャラリー】近年発表、発売された国産EVたちをおさらい!! EVを取り巻く環境はどうなるか!?(8枚)画像ギャラリー2028年5月1日、車検時からEVの負担が変わる
令和8年度税制改正大綱により、2028年5月1日以降に車検を受ける車両を対象に、EVおよびPHEVの自動車重量税に「特例加算分」を上乗せする方針が固まった。政府・与党はこれを「パワートレイン間の税負担の公平性を実現する」ための措置と説明している。ガソリン税を負担しないEVは、道路の維持財源に走行段階で貢献していないうえ、バッテリーを積む分だけ車体が重く、道路への負荷が大きいというのが政府の指摘だ。
これまでEVは自動車重量税が新車登録時から最長5年間にわたり非課税とされてきた。この優遇の骨格自体はエコカー減税の延長により2028年4月30日まで維持されるが、その直後の2028年5月1日から、新たな負担が導入されるという構図になっている。
新車登録から3年、既販車も最初の車検は免除される
制度の詳細を見ていくと、いくつかの緩和措置が設けられていることが分かる。まず、新車登録時から当初3年分については特例加算が免除される。また、すでに登録済みの既販車についても、2028年5月1日以降に迎える最初の車検については免除の対象となる。つまり、負担が本格的に発生するのは、免除期間を過ぎた2回目以降の車検からということ。
具体的な税率は現時点ではまだ確定しておらず、2027年度(令和9年度)の税制改正で正式に検討・決定される見通しだ。ガソリン車の平均的な税負担額を参考に設計される方針で、平均的な車両重量を下回る小型のEV・PHEVについては、過度な負担にならないよう配慮するとされている。またPHEVについては、一定のガソリン税をすでに負担していることを踏まえ、EVの2分の1程度を目安に設定される見込みだ。
現状のEVの税負担はどれほど軽いのか
影響の大きさを実感するために、まず現状の税負担を確認しておきたい。2026年時点で本体価格408万円・車両重量約1500kgのEVと、同等のガソリン車を比較した場合、5年間の税額はEVが合計3万1250円であるのに対し、ガソリン車は18万6500円にのぼる。実に約15万円もの差があり、これがEVの経済的なメリットの大きな柱になっていた。
この差の大部分を生み出しているのが、自動車重量税の免税と、新車登録翌年度の自動車税を大幅に軽減するグリーン化特例だ。今回の特例加算導入は、このうち重量税の免税部分に手を入れるものであり、EVの税制優遇の根幹に踏み込む変更といえる。
特例加算の最大の特徴は、一律の税額ではなく車両重量に応じた課税になるという点だ。バッテリー容量が大きく航続距離の長い上位モデルほど車両重量は重くなる傾向にあり、こうした車種ほど加算額も大きくなると見込まれる。逆に、都市部での近距離移動を想定した軽量な小型EVであれば、負担は相対的に抑えられる設計になる見通しだ。
この設計思想は、単純な「EVへの課税強化」というより、車両が道路インフラに与える負荷に応じて公平に負担を求めるという、受益者負担・原因者負担の考え方に基づいている。EVというカテゴリー全体への課税というより、車両の物理的な特性に着目した課税へと発想が転換されている点は理解しておきたい。











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