生活道路では歩行者・自転車の死傷者割合が約1.9倍
いわゆる生活道路における安全対策に関しては、これまでも一定の区域内を最高速度30km/hに規制する「ゾーン30」などの対策が実施されてきました。2021年からは、最高速度30km/hの区域規制と、ハンプやスムーズ横断歩道などの物理的デバイスを組み合わせ、必要に応じて大型車の通行禁止や一方通行なども実施する「ゾーン30プラス」も進められています。
しかし、生活道路における歩行者や自転車の安全には、いまも課題が残っています。警察庁によると、生活道路に多い車道幅員5.5m未満の道路では、2025年中の交通事故死傷者のうち、歩行中が14.7%、自転車乗用中が33.0%を占め、両者を合わせると47.7%に達しています。
もちろん、ドライバーには道路交通法第70条に定められた安全運転義務があり、見通しや交通量、歩行者の有無などに応じて、最高速度よりもさらに速度を落として走行する必要があります。しかし、法定速度が60km/hのままでは、狭い生活道路を周囲の状況にそぐわない速度で走っていても、60km/hを超えない限り、最高速度違反として取り締まることはできません。地域住民の命が脅かされる危険な走行であっても、法的な実効性を持った抑止策が限られていたのです。
判断に迷ったら、速度を落とそう
施行された9月1日以降、ネット上では「対象となる道路が分かりにくい」「30km/hの標識を設置すべきではないか」といった疑問の声も挙がっています。
しかし、法定速度そのものを改正した背景には、全国に膨大な数がある生活道路を、個別の速度規制だけでカバーすることが難しいという事情があります。道路標識などによる30km/h規制を全国規模でさらに広げるには、道路や交通の状況に応じて規制を実施し、必要な標識や道路標示を整備していかなければなりません。こうした方法だけでは、生活道路全体へ速やかに規制を広げることが難しかったのです。
標識が新設されないまま最高速度が変わるため、ドライバーが戸惑うのも無理はありませんが、今回の改正の目的は、生活道路を行き交う歩行者や自転車、とりわけ子どもや高齢者の交通事故被害を減らすことにあります。中央線や車両通行帯の有無、往復方向を分離する構造があるかを確認し、判断に迷う道路では、まず速度を落として走る。それが、今回の改正を受けたドライバーの対応になりそうです。
【画像ギャラリー】標識がなくても「30km/h」だぞ!! 9月から変わった生活道路の法定速度…対象になる道・ならない道(7枚)画像ギャラリー








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