北米で人気のワケ
ホンダは昔から、北米での評価が非常に高い。例えば、2020年4月、北米の有力自動車総合サイトのケリー・ブルー・ブックが主催する「2020年ブランドイメージアワード」において、ホンダは「ベストバリューブランド」に選出されている。「アコード」や「シビック」、そして「CR-V」といったホンダの主力車種の品質や信頼性、手頃な価格、リセールバリューなどが顧客に評価された結果だという。
さらに、同アワードでは、CR-VがコンパクトSUVカテゴリの2020年ベスト・バイ賞を受賞、アコードも2020年ミドルサイズカテゴリで、シビックも2019年コンパクトカーカテゴリ(クーペ、セダン、タイプR共に)でベストバイ賞を受賞するなど、北米におけるホンダの評価の高さがうかがえる。
この北米におけるホンダの評価の高さは、クルマの出来が良いことは当然だが、ホンダという会社が、北米の方々に信頼されているからこそ、ということも大きいであろう。
ホンダは、日系メーカーでいち早く米国工場を立ち上げて現地雇用を始め(※2019年には1979年の米国現地生産開始から40周年を迎えた)、1994年から米国のインディカー・レースにエンジン供給をし続けている(※2017年にインディ500で日本人初優勝を飾った佐藤琢磨選手が使ったエンジンはもちろんホンダ製)。
このようなホンダの功績が、ホンダのブランドイメージを押し上げ、そこで生まれた信頼感が、クルマの評価を後押ししていると考えられる。ホンダの日ごろの振る舞いが、北米の人々の心に刺さった結果なのだ。
日本で売れない理由は
CR-Vは性能が良く、そしてカッコいいSUVだ。しかし、だからといって「売れる」とは限らない。顧客は、自動車メーカーに対して顧客がもつ印象や、過去の実績、どういった恩恵をもたらしてくれたのかを見極めたうえで、クルマを購入する。
北米市場においてホンダは、「ホンダ車であればどれを買っても安心できる。だってあのホンダなのだから」という絶大な信頼感を勝ち得たが、日本ではどうだろうか。
ここ日本でのホンダといえば、昨今だと、軽自動車やコンパクトカーのイメージが強いのではないだろうか。N-BOXやフィットといったコンパクトカーは、日本人のことをよく考えられた、見事な仕事がなされており、その心使いにはいつも感心させられている。
しかし、ミドルサイズ以上では、そうした心がどうにも感じられないのは、筆者だけではないだろう。CR-Vも、シビックも、アコードも、ホンダのミドルサイズ以上のクルマは、「北米向けのクルマを持ってきました」感が否めない。北米で売れまくるCR-Vが、日本ではさほど売れない理由は、そういうところにあるのではないか、と感じる。
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