新型コロナ禍による緊急事態宣言が2020年5月25日に、他県への移動の自粛も6月19日に解除された。国土交通省がまとめた6月21日の全国の高速道路の交通量は、前年の近い日曜日の84%まで回復していた。
例年、GW(ゴールデンウィーク)やお盆休みには、全国の高速道路は帰省や観光のクルマで大渋滞となるのがお決まりだ。
そんな大渋滞で問題となるのが「SA・PAの大混雑」だ。トイレ休憩などで立ち寄りたくても駐車枠が空いておらず、次のSA・PAまで我慢した……なんて経験をした読者もいるのではないだろうか?
そんな時ふと思ったこともあるのではないだろうか、「なぜ混むのがわかっているのに、立体駐車場のようにして駐車台数をもっと増やさないのか?」かと。
今回はそんな日本のSA・PAの駐車場事情について、清水草一氏が最新の情報とともに考察していく。
文/清水草一
写真/Adobe Stock(decoplus@Adobe Stock)
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■SA・PAはなぜ平置きなのか? NEXCO東日本が語った真相
SA・PAが混雑すると、駐車場に止めるスペースを発見できずに右往左往、というケースが発生する。
個人的には、SA・PAでは、混んでいなくても「最初に見つけた空きスペースにクルマを止める」というのを励行している。たいてい店舗からは遠い場所だが、歩いたってせいぜい2~300メートル。それくらいなら苦にならないし、多少歩いたほうが血行回復などにも効果がある。奥まで突っ込んで空き枠を見つけられずにさまようより、はるかにいい。
が、例年のGWやお盆、年末年始などの交通集中期だと、SA・PAに入れず、本線上で何キロも入場待ちの列が続くことだってある。なんとかならないのか? とは、誰もが思うことだ。「こんなに混むなら立体駐車場にして、もっと停められるようにすればいいのに!」と思う人もいるのではないだろうか。
しかし、現在立体駐車場を採用しているSA・PAは、東京湾アクアラインの「海ほたる」くらいで、ほかにはほとんど例がない。首都高のPAには辰巳や芝浦、箱崎など、立体構造物上に設置されているところもあるが、これとて駐車スペースは一層構造だ。
この件について、NEXCO東日本の広報部に質問してみた。
「ICやJCTは接続するための土地の広さに制約があり、立体的な構造(ループ)になりやすい。一方SA・PAは建設時から自由度が高い。SA・PAの建設の際には、建設費、維持管理費、施設の利用性の3点を考慮している。海ほたるは立体構造を採用しているが、これに関しては洋上という特殊な事情がある」
「SA・PAの駐車場を立体構造とすると、平面ではないため、バリアフリーのためにエレベーターを設置するなど、使いやすさの低下や維持管理費の増加などが発生するため、総合的に判断する」
「今のところ立体化は検討していないが、現在は混雑しているSA・PAで駐車範囲の拡充や、駐車枠の線の引き直しを2022年までに施行することとしている」
個人的には、まっとうな回答であると感じる。大都市部に住んでいると、立体駐車場が当たり前なので、「なぜSA・PAもそうしないのか」と思うのも自然だが、SA・PAがあるのはほぼ「地方部」。土地の制約は小さいので、多少店舗との距離が遠くなっても、平面駐車のほうがいろいろな意味で有利だ。
敷地内に立体駐車場があると、施設全体が圧迫感も受けるし、一部を立体駐車場にしたとしても、混雑時以外、積極的に利用しようという利用者はまずいないだろう。
また、立体化した場合、建物である以上、定期的なメンテナンスは欠かせず、建設費はもちろんのこと、維持管理費や、最終的な建て替え費や解体費まで、平置きとは比較にならないレベルになる。
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