現代のクルマでは、衝突被害軽減ブレーキや車線逸脱警報などの「運転支援システム」はもはや一般的なものとなりつつある。事故を防ぎ、乗員の安全を守ってくれるシステムのはずが、「落とし穴」もあることをご存知だろうか?
文:山口卓也/写真:写真AC、Adobe Stock
【画像ギャラリー】安全装備を信じすぎてない?(7枚)画像ギャラリー現代のクルマに搭載される主な運転支援システムは?
ここで言う運転支援システムとは、正式には先進運転支援システム(ADAS。エーダス/Advanced Driver-Assistance Systemsの略)のこと。
ADASは、車載カメラやセンサー、レーダーなどを使ってドライバーの運転操作を支援するもので、ドライバーに必要とされる「認知・判断・操作」を支援する。
さまざまなものがあるが、主なものは次のとおり。
●衝突被害軽減ブレーキ
AEB(Autonomous Emergency Braking)やAEBS(Advanced Emergency Braking System)、CMBS(Collision Mitigation Braking System)などと呼ばれ、車両や歩行者などをセンサーで検知し、衝突の危険が高いと判断すると、警報や自動ブレーキによって衝突回避や被害軽減を支援するもの。検知できる対象や作動条件は、車種やシステムによって異なる。
●定速走行・車間距離制御装置
ACC(Adaptive Cruise Control)と呼ばれ、設定した速度を維持するクルーズコントロール機能に加え、前車と適切な車間距離を保ったまま加速・減速を自動で支援する。車種によっては停止まで支援する。
●後側方警戒支援システム
BSM(Blind Spot Monitor)やBSW(Blind Spot Warning)などと呼ばれ、走行中に死角になりやすい斜め後方の車両や接近する車を検知し、ドアミラーなどで警告。その状態でウインカーを出すと、インジケーターの点滅などで車線変更の危険を知らせる。車種によっては警告音でも注意を促す。
●交通標識認識システム
RSA(Road Sign Assist)やTSR(Traffic Sign Recognition)などと呼ばれ、カメラで最高速度や一時停止などの道路標識を読み取り、メーター内への表示などでドライバーの注意を促す。車種や状況によってはブザー音でも知らせてくれる。
●車線逸脱警報
LDA(Lane Departure Alert)やLDW(Lane Departure Warning)などと呼ばれ、カメラで白線や黄線を認識し、はみ出しそうになると画面表示や音、ステアリングの振動などで注意を促す。
●駐車支援システム
「アドバンストパーク」や「プロパイロットパーキング」などと呼ばれ、カメラやソナーで駐車スペースを認識し、アクセルやブレーキ、シフトやステアリング操作などを自動で支援する。
●運転者監視システム
DMS(Driver Monitoring System)とも呼ばれ、カメラやセンサーでドライバーのまばたきや顔の向き、前方から目を離している時間などからわき見、居眠り運転を解析し、疲労や注意散漫を感知して警告音や振動で注意を促す。
ADAS搭載車でありがちな落とし穴とは?
ドライバーに必要とされる「認知・判断・操作」を支援するADASは日進月歩で進化を遂げている。しかし、世代によっても、そして最新型でも万能ではないことを知っておくべき。
そこでADAS搭載車に「よくある落とし穴」を見ていこう。
1.衝突被害軽減ブレーキでは……
駐車車両の脇から人や自転車が急に飛び出すと、システムが作動しなかったり、ブレーキの作動が間に合わなかったりすることがある。
また、右折待ちなどで前車に近づきすぎると、急ブレーキがかかり、その後アクセルを踏んでもすぐには加速しない場合もある。
夕日に向かっての走行時やトンネルを出た直後などの明るさが急変する状況ではシステムが作動しない、または、遅延がある。
さらに、大雨の中の走行時、前車や対向のトラックが大きな水しぶきを上げただけで反応してしまうなど。
また、衝突被害軽減ブレーキが作動して停止した場合、「停止」に安心してブレーキ操作をドライバーが行わず前方障害物に進み始め……などもあるようだ。衝突回避のために停止はできても、必ずしも停止状態を保持する機能とは限らないので注意! 停止後はブレーキペダルを踏み、停止状態を確実に保とう。
積雪路や凍結路、未舗装路など、タイヤのグリップの低い路面では、システムが作動しても制動距離が延び、衝突を回避できない場合も。
2.歩行者検知機能では……
背の低い子どもや車いす利用者、前かがみになって杖をついた人など、標準的な歩行者と異なるシルエットの場合は歩行者として検知できない場合がある。
また、交差点での右左折時など自車と歩行者の角度が急変する場合、夜間の背景に溶け込むような配色の衣服を着ている場合は、歩行者検知能力は著しく低下する。
3.パーキングセンサーでは……
クリアランスソナーやパーキングセンサー、PDC(Park Distance Control)などと呼ばれるパーキングセンサーは、超音波を発生させて障害物に反射して戻ってくるまでの時間から障害物までの距離を測るシステム。
よって、同周波数帯の超音波を受信すると誤作動を起こすことがある。
具体的には、同型センサーが搭載されているクルマが近づいた場合に、警告ブザーが鳴りっぱなし……工事中の現場で発生するコンクリートを砕く機器の作動音やオートバイの排気音、インパクトレンチなどでも誤作動を起こす場合がある。
また、超音波を吸収しやすい素材(厚い布や雪)、検知しにくいサイズの駐車用チェーンや細いポール、目の荒い金網、鋭い角度で成形されたものなどでは作動しないこともある。
さらに、センサー部の汚れ(雪、泥、ワックスの残り)によって超音波が乱反射・減衰して作動しない場合もあるので、センサー部は常にきれいにしておきたい!
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