現在はトラックなどの商用車を製造販売するいすゞ(いすゞ自動車)だが、かつては自社開発の乗用車を販売していて、スポーツ志向の強いモデルも多かった。今回は、そんないすゞのスポーツモデルを振り返っていきたい。
文:長谷川 敦/写真:いすゞ、CarsWp.com
【画像ギャラリー】「ベレG」からF1エンジンまで!! いすゞの底力を見よ!(17枚)画像ギャラリーいすゞの歴史を軽くおさらい
1916(大正5)年に、東京石川島造船所と東京瓦斯電気工業が自動車製造を企画したのがいすゞのルーツであり、1922年にライセンス製造したイギリス・ウーズレー社のA9型の国産化に成功した。
いすゞへの社名変更は1949年のことで、この時代にはすでに多くのトラックやバスをラインナップしている。
いすゞの完全自社開発の乗用車は1962年にリリースされたベレルで、その後も商用車と並行するかたちで乗用車がリリースされていった。
1980年代末~1990年代初頭の国内バブル景気の時期にはなんと自社開発のF1用エンジンも登場した。
当時のF1規定に則った3.5リッターV12気筒のP799WEエンジンは、レース参戦を目的とするのではなく、自社のガソリンエンジン製造技術を確認するために作られたもので、実際に参戦しなかったが、ロータスF1チームの車体に搭載されて実走テストは行われている。
いすゞ製乗用車は個性的であり、各所からの評価も高かったものの、販売面では苦戦することが多く、1993年に自社での乗用車製造から撤退して他社製OEMモデルの販売に切り替えたが、それも2002年に終了している。
現在のいすゞはトラックやバスなどの他に海外向けのピックアップトラック&SUVモデルの製造を行っているのみで、乗用車の開発と販売は現在のところ再開の予定はない。
初期の人気スポーツ系モデル
●ベレット
ベレルの小型版という意味を持つ車名のベレットは1963年にデビューした。
後発でなおかつスポーツ性の高いモデルであり、最初に登場したのは4ドアセダンモデルだったが、翌年には日本初のGT(グランツーリスモ)がリリースされた。
このベレット1600GTはレース技術がとり入れられた本格的GTカーで、日本国内におけるGTというジャンルを開拓した。
1.6リッターエンジンにはSU型ツインキャブレターが装着され、最高出力は88psを発生。
足回りは全輪独立懸架サスペンションを装備し、前輪には日本初のディスクブレーキが採用されるなど、高い性能を誇っていた。
後にファストバックやGTRなどのバリエーションも加わり、「ベレG」の愛称でも知られるようになった。
●117クーペ
発売から60年近くが経過した現在でも、いすゞ最高傑作のひとつに数えられるのが117クーペだ。
1968年に販売が開始された117クーペが公開されたのは1966年のジュネーブショーだったが、その美しいスタイルには多数の賞賛が集まった。
ボディをデザインしたのはイタリアのジョルジエット・ジウジアーロで、シャープさとエレガントな雰囲気を併せ持つファストバックのフォルムは21世紀になっても古臭さを感じさせない。
エンジンはスポーティなルックスを裏切らないパワフルな1.6リッター直4DOHCタイプが搭載され、120psの高出力が高速巡行性を保証した。
117クーペはモデルチェンジすることなく1981年まで販売が続けられ、後期にはエンジン排気量が1.8リッターになり、最高出力も140psまで引き上げられた。
販売終了から45年が経っているにもかかわらず、117クーペの現存個体は多く、中古車市場でも200万円~1000万円超と高額で取り引きされていることから人気の高さがうかがえる。
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