2020年6月30日から施行された改正道路交通法では、これまで法的に定義されていなかったあおり運転について「妨害運転」と規定し、幅寄せや急ブレーキ、執拗なクラクションなどで危険を生じさせると取締りの対象となった。
罰則は最高で5年以下の懲役または100万円以下の罰金。さらに、行政処分による免許取り消しの対象になり、一定の期間は再取得できなくなる。
また今回の改正見逃せないポイントして、自転車についてもクルマと同じように厳しい罰則を科すことになっており、14歳以上であれば悪質な場合は刑事罰を受ける可能性がある。
さて、自転車運転者に課せられた、あおり運転による厳しい罰則はどんなものなのか? モータージャーナリストの高根英幸氏が解説する。
※インパクトのあるポスターは警察庁・都道府県警察が作成したもの
文/高根英幸
写真/Adobe Stock
あおり運転罪(妨害運転罪)は一発免許取り消し!
2020年6月30日から施行された改正道路交通法によって「妨害運転罪」が適用された。これを覚えておかねば、これからは免許取り消しになる。この妨害運転とは、いわゆる「あおり運転」のことで、周囲に危険をもたらす運転を指す。
具体的には車間距離を詰めたり、クラクションを執拗に鳴らす、ライトをパッシングしたりハイビームにして威嚇する、横から幅寄せしたりするのは当然、あおり運転だ。
ほかにも前方で急ブレーキをかけたり、後続車両を停止させる、前に割り込んだり、反対車線に出て対向車の進行を妨げるなどの行為も危険な妨害運転だ。
また前方をノロノロ走って、ワザと後続車にあおり運転をさせようとするのも妨害運転となる。
妨害運転罪として検挙された場合は、3年以下の懲役か50万円以下の罰金、それと運転免許の取り消しに加えて2年間の欠格期間が科せられる。
高速道路上で停止させた場合は、5年以下の懲役か100万円以下の罰金と免許取り消しの欠格期間が3年へと、さらに処分が重くなる。
なかなか厳しい内容となっているのは、それだけ強い抑止力が求められているからだ。初犯から実刑が科せられることはないだろうが、罰金は容赦なく科せられるだろう。
しかも現行犯だけでなく、ドライブレコーダーやスマホによる録画でも証拠となれば、悪質な場合逮捕もあり得る。
■あおり運転の対象となる10類型の違反
・対向車線にはみ出す(通行区分違反)
・急ブレーキをかける(急ブレーキ禁止違反)
・車間距離を極端に詰める(車間距離不保持)
・急な進路変更を行なう(進路変更禁止違反)
・危険な追い越しをする(追越し違反)
・執拗なパッシング(減光等義務違反)
・執拗なクラクション(警音器使用制限違反)
・幅寄せや蛇行運転(安全運転義務違反)
・高速道路での低速走行(最低速度違反)
・高速道路での駐停車(高速自動車国道等駐停車違反)
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