2020年6月17日に発売された新型ハリアー。受注は2万5000台を超える勢いで、早くも納期は4~5ヵ月あまりになっている。
この新型ハリアーが登場する前に、大ヒットを飛ばしていたのがRAV4。実はRAV4と新型ハリアーは、ほぼ同時並行で開発が進められた兄弟車なのだ。
GA-Kプラットフォームを共用しており、新型ハリアーの方が全長が140mm長く、全幅とホイールベースが同じ、全高も25mm低いだけだ。
サイズは大きく変わらないが、スタイルはかなり異なっている。オフロードでのタフな走りを重視し、力強いエクステリアを持つRAV4に対し、新型ハリアーはスタイリッシュなクーペSUVに仕立てている。
さて、似ているようで違う兄弟車の新型ハリアーとRAV4。どこがどう違うのか? 走りに違いはあるのか? モータージャーナリストの渡辺敏史氏が解説する。
写真/池之平昌信 トヨタ
文/渡辺敏史
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兄弟車の違いはどこにある? 渡辺敏史的考察
さる6月17日に発売された4代目となる新型ハリアーは、グレードによっては既に半年近い納期が生じるなど、大ヒットを予感させる販売動向を示している。
その兄弟車ともいえるRAV4も、2019年でみれば最も売れたSUVの称号を戴く予定だった。が、そこに待ったをかけたのは下半期に猛追をかけたライズだ。
C−HRも含め、気づけばトヨタは「トヨタの敵はトヨタ」という勢いでSUV布陣を固めつつある。何よりその販売力は、他社の追随を許さない。
逆に言えばそれほどのラインナップを並べるということは、前述のように需要を共食いする状況も考えられるわけで、ニーズの見極めやコンセプトの鮮明化が求められる。
そもそもレクサスRXの日本版銘柄だったハリアーは、レクサスブランドの日本導入にあわせて2代でそのモデルライフを終えようとしていた。
が、その継続を地方のトヨペット系販社が強く要望したことで登場したのが日本専売の3代目、つまり先代ハリアーだったことはよく知られた話だ。
その先代ハリアーは日本でモデル末期の2019年でも月平均3000台近い販売をマークする定番銘柄へと成長し、シンガポールやマレーシアなど左側通行の一部仕向け地にも輸出された。
これらの実績がハリアーの独立継続の道を拓いたわけだ。言い換えれば販売現場の声がハリアーを救ったと言っても過言ではないだろう。
ただし、この5月の販社統合で、ハリアーはトヨペット店専売銘柄から全店舗取扱銘柄となった。
同様にRAV4もカローラ&ネッツ店専売銘柄から全店取扱銘柄になっているので、ユーザーには最寄りのトヨタディーラーで両車を並べて迷えるというメリットが生まれている。
ハリアーにおいてのもうひとつの大きな環境変化は仕向地の拡大だ。ほぼ日本専売の状況から、北米への販売も前提に置いたものとなっており、アジアでの商圏拡大も視野に入れているという。
ちなみに北米ではSUV風MPVとして販売されていたヴェンザの名を引き継ぐことになる。
となると、キャラクターは台数の稼げる北米向けの嗜好が重視されることになりそうなものだが、ハリアーを手掛けた小島利章主査は「悩んだ末に日本のマーケットで鍛えられたスペシャリティSUVのコンセプトを継承して世界で戦ってみようということになった」。
つまり、ハリアーの商品価値はあくまで日本的な嗜好にあるというわけだ。現状の予定では生産も全量が高岡工場と、メイド・イン・ジャパンの品質もハリアーの武器となる(ちなみに日本仕様のRAV4も全量日本生産)。
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