毎年、さまざまな新車が華々しくデビューを飾るその影で、ひっそりと姿を消す車もある。
時代の先を行き過ぎた車、当初は好調だったものの、市場の変化でユーザーの支持を失った車など、消えゆく車の事情はさまざま。
しかし、こうした生産終了車の果敢なチャレンジのうえに、現在の成功したモデルの数々があるといっても過言ではありません。
訳あって生産終了したモデルの数々を振り返る本企画、今回はホンダ プレリュード(1978-2001)をご紹介します。
【画像ギャラリー】デートカーとして一世を風靡!!! ホンダ 歴代プレリュードをギャラリーでチェック!!!
文:伊達軍曹/写真:HONDA
■ホンダ初の本格スペシャリティカー
1978年登場の初代は国外でも人気を博す存在となり、続く2代目、3代目は「デートカー」として大ヒットを記録。
しかしクーペ人気の凋落に伴って次第に存在感を失い、5代目を最後に廃番となったFFクーペ。それが、歴代ホンダ プレリュードです。
145クーペ以来、約4年ぶりの「ホンダの2ドアノッチバッククーペ」として1978年に登場した初代プレリュードは、当時のFF車とは思えないほどクイックなハンドリングとシンプルビューティなデザインで人気を博し、海外でも大人気に。
初代のヒットを受けて1982年に登場した2代目は、初代よりフロントフードを80~100mm下げたうえで「リトラクタブルヘッドライト」を備えた、ちょっとしゃれたクーペに変身。
5ナンバー枠ほぼいっぱいの1695mmまで広げられた全幅と、4295mmの全長。それでいて初代とほぼ変わらない1295mmの全高が織りなす全体のフォルムは、なかなかセクシーでした。
初代プレリュードのクイックなハンドリング特性から安定性重視のそれに変わり、同時に扱いやすいサイズでデザイン的にもしゃれていたことから、2代目プレリュードは女性ドライバーの間で人気となるとともに、当時の若者が使う「デートカー」としても人気を博しました。
そしてその流れを決定づけたのが、1987年登場の3代目プレリュードでした。
「2代目のしなやかな造形を踏襲しつつ、ブラッシュアップした」というニュアンスのデザインはまさにプレリュードの完成形で、自家用車を買うだけの財力を持っていた若者の圧倒的な支持を獲得。
同時期のS13型日産シルビアと並んで、いわゆるデートカーの2大巨頭として時代をリードしました。
しかし同時に3代目プレリュードは、メカニズム面でけっこうな挑戦を行ったモデルでもありました。
代表的なのは、量産車初の機械式4WS(4 Wheel Steering)でしょう。これは、ハンドルが小舵角のとき後輪は前輪と同位相に、大舵角のときは後輪が逆位相になるというのものです。
続く1991年9月登場の4代目では「デートカー」から「スポーツクーペ」にイメージを一新し、骨太系のデザインに変身。
全幅も1765mmの3ナンバーサイズとなり、北米仕様と同じ2.2LエンジンのVTEC版では最高出力も200psに。さらに4WSも、制御に限界がある機械式から電子制御に変更されています。
しかしこの頃からスペシャルティクーペの市場は急速にしぼみはじめ、今ひとつ人気薄だった4代目の野性的デザインから「シンプル系」のデザインに戻して1996年に発売された5代目プレリュードも、結局は鳴かず飛ばずに。
「Type S」には新開発のATTS(左右駆動力分配システム)を採用し、「SiR S spec」にはビスカスLSDを標準搭載。
さらにAT仕様には新開発のシーケンシャルモード付き4速AT(Sマチック)を初搭載するなどして頑張った5代目でしたが、ヒットには至らないまま2000年9月に生産終了。
そしてホンダ インテグラに統合される形で2001年6月、販売のほうも終了となりました。
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