紫外線が強くなると深刻に! 車検が通らなくなるヘッドライトの白ボケ なぜそうなる!? どう解消!?

 これから梅雨が明け夏真っ盛りになると、気になるのは紫外線。人間も紫外線によるダメージを気にするように、クルマにとっても紫外線は天敵だ。特に、ガレージではなく、青空駐車をしている人にとっては重大な問題だ。

 黒い樹脂部品の表面は白化するし、ヘッドライトは白濁や黄変を起こす。ヘッドライトは保安部品であり、その性能いかんで安全に走れなくなるかもしれない重要な部品だ。

 そんなヘッドライトは、白濁や黄変を起こすと光量が大きく減り、車検も通らないケースもあるという。それは非常に困る……。今回はそんな重要なヘッドライトが白濁や黄変してしまった時に、元に戻すにはどのような方法があるのか? このような問題が生まれてきた背景とともに紹介していきたい。

文/諸星陽一
写真/Adobe Stock(Jiggo_Putter@Adobe Stock)、RENAULT

画像ギャラリー】ポリカーボネートの強みを生かす こだわりすぎた形状のヘッドライトを採用したクルマたち


■かつてはガラス製だったヘッドライト デザイン性の追求が問題の原因に

 ヘッドライトが変色してしまったり、白く濁ってしまっているクルマをよく見かけることがあります。特にちょっと古いクルマではこうしたクルマをよく見かけます。逆に新しいクルマやすごく古いクルマではあまりそうしたヘッドライトを見かけません。

 これは、新しいクルマはまだ劣化が起きてないからで、すごく古いクルマではヘッドライトがガラス製だったからです。ヘッドライト、正確にはヘッドライトのレンズには長い間ガラスが使われてきましたが、1970年~1980年代にかけて徐々にガラスからポリカーボネートという樹脂に変わっていきます。

 その昔、ヘッドライトは規格品が多く使われていました。とくにアメリカでは規格品しか使えないという法規があったため、アメリカ車やアメリカに輸出を考えているクルマは規格品を使う以外に方法がありませんでした。

 規格品はシールドビームと言われるものです。シールドビームは電球とレンズを一体化したような構造です。切れたら(点灯しなくなったら)レンズごと交換するものです。

 古くは丸形2灯で始まり、やがて丸形4灯、角形2灯、角形4灯というように規制が緩和されました。なぜこのようなことを行ったか? ヘッドライトを規格品にしておけば、アメリカ中どこでも壊れたときにすぐに直せたからです。

 ヘッドライトが点かず走るのは危険です。しかし、クルマでなければ移動できないアメリカでは、こうしたことが大切だったのです。また、生産コストを落とすための手段でもあったといわれています。

 さて欧州では別のムーブメントが起きます。欧州ではデザインの自由度を求めて、異型ヘッドライトという動きが出てきます。エクステリアデザインの大きなポイントとなるヘッドライトをさまざまな形とすることで、デザインそして空力性能をアップさせようとしました。

 アメリカでも1982年にはヘッドライトの規制が緩和され、一気にヘッドライトのデザインが多様化します。最初はガラスでヘッドライトのレンズを作っていますが、やがてそれはポリカーボネートという樹脂にとって代わられます。

ポリカーボネートならば、ご覧のような複雑な形状のヘッドライトだって思いのまま。もちろん成形性だけでなく、車両の軽量化、衝突時の安全性などにも寄与している

■メーカーも見て見ぬふり!? ひどくなると車検も通らない劣化問題

 お待たせしました。やっとヘッドライトが白濁したり黄変したりする時代がやってきました。そうなのです。このポリカーボネートという樹脂を使うようになって、クルマのヘッドライトはあの忌々しい老化現象との戦いが始まるのです。

 なぜ、ここまでの経緯を詳しく書いたかというと、ヘッドライトが白濁、黄変する最大の理由はポリカーボネートの使用を許したからなのです。ヘッドライトの形状は自由にするべきだったとしても、白濁や黄変するような素材を許可したことが間違いの始まりです。そして、こんなひどい状態になり、車検が通らないような事態にまで陥るのだったら、リコール対象となってしかるべきです。

「前照灯が白濁または黄変し、夜間の走行に支障をきたすことがある」といった理由でリコールになってもおかしくないはずなのに、 その不快感と負担をユーザーに押しつけるというのは由々しき問題です。

これからガラス製ヘッドライトに戻るということはないだろう。だからこそ、メーカーとしても対応も必要だと言えるAdobe Stock(瑛之 新井@Adobe Stock)

 ポリカーボネートはガラスよりも軽く、そして加工しやすい材料ではあるのですが、弱点がありました。それはいずれもガラスに比べて、紫外線に弱い、キズが付きやすい、熱に弱いという点です。

 この時点で、もはやヘッドライト素材としては失格です(しつこいね)。ヘッドライトが白濁や黄変した場合に一番困るのは車検を通らないかも知れないという事態です。

 白濁や黄変で車検落ちする原因は、ひとつは光量が落ちるというものです。また、エルボー点といわれるカットオフラインがらみのくっきり感も問題になる場合もあると言われています。これらの現象が起きるのは、原理はすりガラス越しなら光が柔らかくなるのと同じです。

 光軸や光量は計測機で計っての結果ですが、ヘッドライトにはそれ以外に検査官の目視での要素も入ってくるので、エルボー点が判別しない場合やヘッドライトが黄色く見える場合(レンズの黄変で車検落ちとなるまで黄色くなることはまずない。また、平成17年12月31日以前に初度登録されたクルマは黄色いヘッドライトも認められている)は注意が必要です。

ハロゲンランプを採用しているヘッドライトは、特に白濁や黄変によって光量の低下が顕著に感じられる。外からの紫外線以外にも、ハイワッテージバルブやHIDなど発熱量の大きいバルブを使用すると、内側に白濁や黄変を起こす原因にもなる(sutichak@Adobe Stock)

 先にも書いたようにヘッドライトが白濁、黄変する理由は紫外線やキズ、熱です。ご存じのように紫外線は太陽光に含まれています。現実的に太陽光を浴びないというのは不可能です。防止するためにはヘッドライト表面に紫外線防止するコーティングなどを施したり、透明な紫外線カットフィルムを貼るなどの方法が現実的でしょう。

 ただし、ヘッドライト表面にはすでに紫外線防止用のコーティングが施されているので、新たなコーティングやフィルムの貼り付けがもともとのコーティングに何らかの影響を及ぼす可能性も否定できません。コーティングやフィルムの貼り付けにはそれなりに慎重になる必要があるでしょう。

 キズについても、フィルムでの防止は可能ですが、注意点は同様です。熱については、ノーマルの状態で使っていれば通常の経年変化しか起きないでしょう。しかし、ヘッドライトチューニングを行ってしまうと、これは話が違ってきます。

 ハロゲンヘッドライトやHIDを明るいバルブやバーナーに変更するとそれなりに熱を発生します。とくにハロゲンの場合は熱が増加する傾向にあります。また、HIDの場合は粗悪な部品を使うと、紫外線が大量に放出されることがあり、レンズの内側から白濁や黄変が生じる可能性があります。

■白濁や黄変したヘッドライトはどうする!? 改善のために取れる3つの方法

 すでに白濁、黄変した場合の対処法は3つです。ひとつはヘッドライトユニットをアッセンブリーで交換するというものです。しかし、これはかなり費用がかさみます。最近のLEDヘッドランプなどは軽自動車でも片側で10万円を超えるような価格のものもあります。

 次にレンズのみの交換です。基本的にはレンズのみの部品は存在しないのですが、社外品などで用意されている場合があります。これは装着に特殊な技術も必要なので部品は安くても、工賃が高くなる傾向となります。

 3つ目はレンズの表面を磨くなどして白濁、黄変を除去するというものです。この方法がもっとも一般的でしょう。白濁、黄変は表面から発生するので、それをケミカルや研磨によって除去するというものです。

 外側から白濁、黄変しているものはそのまま磨けばいいのですが、内側から発生している場合はヘッドライトを分解しての作業となるため、プロショップでないと難しいでしょう。白濁、黄変は表面に発生するので、これを取り除くと紫外線カットのためのコーティングも除去してしまうので、作業後は再コーティングが重要となります。

プロに依頼すると丁寧な研磨などの下処理と、業務用の強力なコーティング剤を使用するので、DIYで行うよりも長持ちする。とはいえ、白濁や黄変と無縁にはならないので、定期的にお手入れは必要だ(Amnatdpp@Adobe Stock)

 最近はLED式のヘッドライトが増え、コーティング技術なども上がってきているので白濁、黄変しにくくはなってきていますが、しないわけではありません。

 また、ヘッドライトはクルマの最前部にあるため、事故で破損する可能性もかなり高いパーツです。こうしたことを考慮すれば、ヘッドライトのデザインに固執してポリカーボネート化せず、規格品を使ってデザイナーの腕を競っていた時代のほうが健全だったような気がしてなりません。

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