まだ梅雨明けしていない地域も多い日本列島、車のワイパーのお世話になる機会も多い。
多くの車には、前後ともにワイパーがついているのだが、実はセダン/クーペタイプのモデルには、「リアワイパーが付いていない車種」がある。
一昔前に比べるとそもそもセダン&クーペ自体が減っているのだが、それを差し引いても近年、リアワイパーの付いたセダンやクーペを目にする機会は激減しているという。
リアワイパー付のセダン&クーペはなぜ少なくなったのか? そして現在でも付いているモデルは?
文:永田恵一、写真:スバル、トヨタ
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日本車の現行車でリアワイパーが付くセダン&クーペはどのくらいある?
まずは、国産メーカー各社のセダン&クーペでリアワイパーが付いているモデルを調べてみた。以下がその一覧だ。
【トヨタ】
・プレミオ&アリオン/寒冷地仕様車には標準装備
・カローラ、カローラアクシオ/寒冷地仕様車にメーカーオプション設定あり(各1万5400円)
【ホンダ】
・グレイス/4WDに標準装備(生産終了直前のため、好みの仕様が選べるかは不明)
【スバル】
・インプレッサG4、WRX S4、レガシィB4(※受注受付終了のため在庫のみ)/全グレード標準装備
このように非常に少なかった。リアワイパーの設定があるセダン&クーペを見ると「雪国での使用を重視したクルマ」という傾向が感じられる。
なぜリアワイパーが付くセダン&クーペは少ない?
カローラとカローラアクシオの寒冷地仕様車に付けられるリアワイパーの価格は、1万5400円とそれほど高くない。
標準装備にすればもっと安くなりそうなだけに「なぜリアワイパーが付くセダン&クーペが少ないのだろう」という考えもわからなくはない。
しかし、調べてみるとセダン&クーペにリアワイパーが付かない納得できる理由もそれなりにある。以下、いくつか挙げてみたい。
(1)セダンのリアウィンドウは水滴が流れやすい
理由としてはセダンのリアウィンドウは比較的寝ているのに加え、走行中の空気の流れもスムースなため、リアウィンドウに当たった走行風も含めると水滴が流れやすく、水滴により見にくくなりにくい。
(2)泥によってリアウィンドウが汚れにくい
ハッチバックなどの2BOXに分類されるクルマはリアオーバーハングが短く後輪とリアウィンドウが近いため、後輪が跳ね上げた泥でリアウィンドウが汚れやすい。
それもあって、リアワイパーの必要性は高く、標準装備となっている比率も非常に高い。
それに対しセダン&クーペは独立したラゲッジスペースがある3BOXだけに、リアオーバーハングがそれなりに確保されており後輪とリアウィンドウも遠いため、後輪が跳ね上げた泥による後方視界の悪化を防ぐためにリアワイパーを付ける必要性は薄い。
(3)リアワイパー装着による空力性能の悪化
クルマの空力に精通した方によると「リアワイパーが付くことによる空力性能の悪化は小さくない」というデメリットもあるという。
(4)ラゲッジスペースの上下方向が若干ながら狭くなる
セダン&クーペにリアワイパーを付けた場合モーターなどはラゲッジスペース最上部に付くため、若干にせよラゲッジスペースをフルに使った際の容量はスポイルされる。
こうしたセダン&クーペの優位性とコストを含めたリアワイパー装着よるデメリットを総合して、スバル車をはじめとした雪道での使用を重視したセダン&クーペ以外はリアワイパー非装着を基本としているのだろう。
確かに筆者が20年少々で20台近く乗り継いだクルマの中にはリアワイパーの有無も含め何台かセダン&クーペもあったが、「リアワイパーはあった方がいいけど、なくても大きな不便はない」というのが総合的な印象だ。
しかし、それが2代目以降のプリウスや現行シビックハッチバックのような5ドアセダンになると(1)と(2)の不利が出てくるようで、5ドアセダンを2BOXカーと3BOXカーのボーダーラインとするようにリアワイパー装着率が一気に向上する。
コメント
コメントの使い方>水滴により見にくくなりにくい。
嘘
明らかにリアワイパーで拭いた方が見やすい。