2020年2月、ほぼ同じタイミングで登場した、トヨタ「ヤリス」と、ホンダ「フィット」。売れ筋であるコンパクトカーのガチンコ勝負は、今のところ、ヤリスがフィットを大きく突き放す、という結果となっている。
発売当時、フィットは、同時に4つのスタイリングで登場したことで、世間を驚かせた。中でもSUVの雰囲気をまとった「フィットクロスター」には、注目が集まったが、一方のヤリスも4月に「ヤリスクロス」が発表され、秋にも国内での発売開始が予定されているなど、期待が高まっている。
そして、この2台と競合する「日産ノート」も、年内に次期型が登場する、とされており、この次期型ノートにも、なにかしらの派生車があるのでは、と噂されている。
日産といえば先日、コンパクトSUVの「キックス」が登場したばかりではあるが、コンパクトSUV全盛の時代であることから、ヤリス、そしてフィットと同じく、次期型ノートと同じプラットフォームでSUVを出してくる可能性もなくはない。
そこで、ちょっと気が早いが、「ノートクロスを出したら、ヒットするか? 」を妄想してみた。
文:吉川賢一/写真:NISSAN、TOYOYA、HONDA
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ノート+SUVのクロスオーバー=キックス?
先日、国内発売開始となったばかりの「キックス」は、ボディサイズやホイールベース、そして1.2リッター3気筒の発電用エンジン+駆動用モーターのe-POWERなど、まさに現行ノートe-POWERのSUV版、となってしまうのだが、本記事では、キックスとは異なる「ノートクロス」を想定する。
新規デザインの採用がマスト!
このような派生車を開発する際、デザインのやり方には大きく2通りある。
ひとつは、ヤリスクロスのように、ベースとなるクルマの雰囲気を持たせながら、全く別のエクステリアを作る「新車開発パターン」と、ホンダのフィットクロスターのように、ベースとするボディへSUVクロスオーバーに見えるフロントバンパーやフェンダーアーチ、アンダーカバー、車高変更、タイヤ外径拡大をする「化粧直しパターン」だ。
前者のパターンの場合、ルーフの高さを変更したり、Aピラーを立てたりして、上屋の骨格変更までもしてしまうと、ベース車両で作り上げたバランスを、再び取り直す必要もでてくる。骨格の一部を変更しただけなのに、ハンドリングや乗り心地、音振性能が、大きく悪化してしまうこともあるのだ。そのため、後者と比較して、コストも時間も大幅に必要となってくる。
後者のパターンであっても、タイヤの外径を変更したことで車両重心の変化や、タイヤの違いによる影響は、バランス取り直す必要も出てくるが、前者に比べれば、さして問題ではない。
しかし「化粧直しパターン」のようなちょっとした違いでは、これらの派生車をもとめるユーザーに目新しさや、所有する満足感を与えることはできないように思う。
実は現行ノートにも、「C-Gear」や「C-Gear Limited」というSUVの雰囲気をまとった派生車は存在する。しかし、控えめすぎるアレンジのためか、その存在は埋もれてしまっている。
前者のように、新たなエクステリアのデザインを採用した方が、圧倒的に新鮮で、相当な商品アピールとなる。化粧違いとしてではなく、別物のクルマとしてみなされるのは、販売面でもやはり強いだろう。「ノートクロス」には、新たなエクステリアデザインを求めたい。
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