第2世代e-POWERを期待!
e-POWERシステムが世界初登場したのは、2016年のノートマイナーチェンジのときだった。その後、日産の屋台骨の一台であるセレナへも採用し、販売拡大の原動力となった。「ノート」は購入者の70%以上、「セレナ」は約半数が、「e-POWER」搭載車を選んでいる。そのe-POWERも5年目となり、次世代型が求められる時期だ。
日産では、将来的に、e-POWERの発電用エンジンに、先進技術を搭載することで熱効率50%を目指しているという。
さらには、次世代e-POWERでは知能化が図られ、発電機用エンジンの始動タイミングを、実用燃費と静粛性を考慮して、徹底的に最適化し、ドライバーの運転特性に合わせて進化させる、という。これらは、2019年10月に行われた、ニッサンインテリジェントモビリティテクノロジーツアーでの日産の発表内容だ。
キックスのように、コンパクトSUVに既存のe-POWERを載せるのは、技術的には容易いことだろう。しかし、第2世代e-POWERのような、テクノロジーの進歩を見せられるかどうかが、ノートクロスの勝算のカギを握っている、と筆者は考える。
初代e-POWERがヒットした理由は、その時点で「他車がやっていなかったから」だ。上記のような、次世代e-POWER開発と共に、新車開発をしていくとなると、ハードルは相当高まるが、苦労なくして成功は掴めない。ノートクロスには、次世代e-POWERの搭載も、期待したい。
ノートクロスは売れるのか?
今、国内市場で日産を襲っている不幸は、新たな商品がない(あっても古い)ことにある。新車を出さないことには、売れるはずもない。しかし、ノートクロスを、上述したような内容で出したとしても、大成功を収めるようなことは、残念ながら期待できない。ノートクロスだけをやっても、ダメなのだ。
ライズ、ヤリスクロス、C-HR、RAV4、ハリアーなど、息つく暇もなく出し続ける、トヨタの怒涛のSUVラッシュを、日産ももちろん見ているだろう。ラインアップを揃えることの強さは、どのクルマにしようかと、「迷う余地がある」ことだ。
キックスとエクストレイルのほかに、このノートクロスなど、サイズやデザインの異なる魅力的なSUVがずらっと並んでいるなかから、好きな1台を選ぶ。選択肢をたくさん用意することで、ユーザーは選ぶ楽しさを味わえる。そして悩みに悩んで選んだ一台は、そのユーザーにとって「愛車」となり、よりクルマを楽しんでくれることにもつながるのではないだろうか。
日産にとっても、日産の内部、そして販売現場に血を通わせることが、今最も求められていることだ。そのための血液となる、こうした新型車の派生モデルは多く作るべきだと筆者は考える。「キックスがあるから十分」と考えるのは甘いと思う。
こうした元気な日産の姿を望んでいる日産ファンは多いはず。そうした日が、一日も早くやってくるのを心待ちにしている。がんばれ日産。
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