販売系列の統合もアルファード人気に追い風
もう一つ、トヨタはこれまでの販売系列をやめ、どの店でも同じクルマを扱えるようにした。
それによって、より顔つきのはっきりしたアルファードを好む消費者が、販売店系列の別と関係なくアルファードを希望したこともあるのではないだろうか。アルファードという車名が、消費者の気持ちを呼び寄せる効果を発揮しているのではないか。
アルファードの歴史を冒頭で紹介したように、ヴェルファイアは当初のアルファードVから改名した車名で、歴史は12年しかたっていない。
それに対し、トヨペット店のG、ネッツ店のVとしていた時代から、アルファードの車名は20年近く経っており、アルファードといえばトヨタの上級ミニバンとして広く浸透しているのではないだろうか。
そして、2代目3代目と進化するなかで、現行車は上級ミニバンの究極ではなく、「新しい未来の高級車を想像する=大空間高級サルーン」を目指したと、開発責任者は語った。
実際、現行のアルファード/ヴェルファイアは、想像を超える操縦安定性と静粛性、快適性を備えるに至った。そして世の評価も、「アルファードはいい」という声が高まったはずだ。
顔つき以外はほぼ同じクルマだとしても、「アルファードを買った」といって周囲の友人知人が「いいクルマを買ったね」とすぐわかってくれるのと、「ヴェルファイアを買った」といって、「それはどういうクルマなの?」と問われてしまうのでは、嬉しさの感じ方が違ってくるのではないか。
それほど、アルファードという車名が、競合他社との比較も含め上級ミニバンの代名詞となるようなブランド化をしたということだろう。
ヴェルファイアはなぜアルファードを越えられなかったのか
ヴェルファイアというVではじまる車名は、少し言いにくかったり覚えにくかったりするかもしれない。
アルファードVといっていた時代のVを継承し、苦心して考え出した車名だと想像するが、日本人にとってはやはり言いにくかったり覚えにくかったりするのはやむを得ない。
些細なことであっても、消費者の気持ちからすれば、すべてにおいて満点であって欲しいのであり、それが300万円半ばから700万円を超える商品を買う顧客の心理ではないか。
そうした総合的な視点で、上級ミニバンの代名詞となったアルファードが販売台数でヴェルファイアを上回ったのは当然の結果かもしれない。
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