全国8000万のついついクルマの試乗記を読みあさってしまう皆さん、お待たせしました! アルファードと“キャラ被り”のグランエース、どちらがより“イイ”のか、渡辺陽一郎と清水草一が同条件下でガチ乗り比べ!
今回はアルファードとグランエース、渡辺陽一郎氏と清水草一氏。ともに「運転するより後ろがいい」というクルマだが、ふたりはどういう結論を出すのか?
皆さんには、ぜひインプレションを読み比べてみていただきたいです。
●【画像ギャラリー】鳴り物入りで登場した究極のVIPカーVSミニバン界の皇帝!!! グランエース&アルファードをギャラリーでチェック!!!
※本稿は2020年4月のものです
文:渡辺陽一郎、清水草一/写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2020年5月10日号
■先攻 アルファード エグゼクティブラウンジ
日本を代表するLクラスミニバンの雄。2.5Lと3.5L、2種のガソリンと、2.5Lベースのハイブリッドを用意。価格は352万~775万2000円。今回は最上級グレードのエグゼクティブラウンジに試乗。
■渡辺陽一郎のアルファードインプレッション
アルファードは「クラウンのミニバン仕様」という印象だ。
現行クラウンは乗り心地が硬めで欧州車風だが、アルファードには多くの人が愛した従来型クラウンの雰囲気がある。内装にはメッキパーツが多用され、豪華さもわかりやすい。
試乗車のエグゼクティブラウンジは、2列目は超絶的に豪華で快適だが、3列目は座り心地の柔軟性が乏しい。
床と座面の間隔も足りず、足を前方へ投げ出す座り方になる。2列目と3列目とでは快適性が大幅に違うから、大人6名で長距離移動する時は、時々席替えをしたほうがよさそうだ。
アルファードの3列目はほかのミニバンに比べると快適だが、上級グレードは2列目が一層豪華だから、格差が拡大する。そうなると最適な使い方は、1/2列目に4名で乗車して、3列目は格納して荷物を積むことだろう。
運転感覚は自然な印象で、重心の高さも意識させない。ハイブリッドの場合、登坂路では4気筒のノイズが少し響くが騒々しくはない。クラウンに近い感覚で運転できる。
なおハイブリッドエグゼクティブラウンジの価格は760万円弱に達するが、エアロパーツを装着しながら価格を抑えた買い得なハイブリッドSなら479万9000円だ。グランエースプレミアムと比べて約170万円安い。
■清水草一のアルファードインプレッション
アルファードは傑作だ。何が傑作かって、なんといってもデザインが傑作! 進撃の巨人のごときフロントマスクは、従来の常識を木っ端微塵に打ち砕き、箱型フォルムにもかかわらず、サイドもリアも立体的な曲面を持っている。
ただ、このクルマの乗り味や快適性については、そんなに高いとは思っておりません。装備は凄いし、シートもゴージャスだけど、何よりも乗り心地がいまひとつだ。
その原因はボディ剛性の低さにある。両側スライドドアミニバン特有の弱点で、ねじりに弱い。なかでもアルファードは、デカいぶんかどうかわからないが、最も強くねじれを感じる。
フツーに走ってても、いつもボディがよじれながら走ってる。そのよじれをサスが制御しきれてないので、乗員にも微妙に不快な振動として伝わってしまう。2列目に乗せてもらっても、あまり満足できません!
じゃ運転してどうかというと、常に出足のトルクの弱さを感じる。2トンを超える巨体だけに、2.5Lのハイブリッドでも、3.5LのV6ガソリンでも力不足。線が細い印象になってしまう。
よって運転しても同乗しても、私はそれほど快適には感じない。見てるのが一番いい。いや、あまりルームミラーに大映しになってほしくもないけど。
コメント
コメントの使い方